年末にも発生 ギリシャとトルコ、繰り返すドッグファイト

戦闘機同士の格闘戦「ドッグファイト」。射程の長いミサイルを使った戦いが普通になった現在でもしばしば発生しており、世界にはその“多発地帯”があります。その状況、日本にとっても他人事ではないかもしれません。

「脅し」で終わらなかった例も 他人事ではない日本

 ただし、いつもドッグファイトが何事もなく終わるとは限りません。空中戦闘機動を行いつつ数十mの距離まで接近することもままあり、1992(平成4)年6月にはギリシャのダッソー・ミラージュF1戦闘機とトルコのF-16が空中衝突し、墜落する事故が発生。また1995(平成7)年にはトルコのF-16が事故によって墜落したほか、2006(平成18)年にも、両軍のF-16同士が空中衝突によって墜落しています。

 そして極めつけが、1996(平成8)年のギリシャ空軍ダッソー ミラージュ2000とトルコ空軍F-16のドッグファイト。このときはついにミラージュ2000が、マトラR.550「マジックII」の実弾を発射。F-16を撃墜してしまっています。これはトルコ・ギリシャ間のドッグファイトによって生じた唯一の撃墜記録であり、そして同時にF-16にとっても、1981(昭和56)年にイスラエル空軍によって初めて実戦投入されて以来、唯一となる空対空の被撃墜となっています。

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手前がギリシャとトルコ、両国とも導入してる米ロッキード・マーティンのF-16「ファイティング・ファルコン」(画像出典:アメリカ空軍)。

 現代の空中戦は、パイロットが肉眼で相手を補足するよりも遥かに遠くの距離において、レーダーと射程の長いミサイルで戦う能力が最重要視されています。しかし現実には、よほどの緊張状態にない限り、“平時の衝突”において長距離からいきなりミサイルを発射するという事態はまずありません。

 ただギリシャとトルコの例のように、相手を目視でとらえて追い払う事例は多く、その場合は現在においても古典的な格闘戦「ドッグファイト」が十分に起こりえるため、いまをもって戦闘機の機動性は極めて重要な要素であり続けています。

 我々、日本人にとってギリシャとトルコのドッグファイトは、遠く地球の裏側の出来事に思えるかもしれません。しかし、エーゲ海の様相は尖閣諸島上空の未来の姿であるかもしれず、多くの示唆を含んでいます。

【了】

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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