不審火、遅延 船で揺れる三菱ブランド いまそこで何が?

三菱重工が、客船事業で2000億円近い損失を出す事態に陥っています。納期は幾度も先送りされ、短期間に3回もの不審火が発生。三菱重工でいま、何が起きているのでしょうか。大型客船を建造可能な日本唯一の企業でもあることから、「日本の造船業の未来」という意味でも注目が集まっています。

“巨艦”に灯る黄色信号 行先不明な日本の大型客船

 客船事業の特別損失が、累計で約1870億円にも達した三菱重工。AIDAクルーズから受注しているもう1隻について。日本経済新聞によると2016年12月の完成を目指すことが決まったとのこと。すでに9か月の納期遅延になっており、さらなる損失は避けられないでしょう。

 また同社では2016年度、9160億円の賠償が要求されている米・サンオノフレ原発の訴訟が決着する見込みであるほか、旅客機「MRJ」の就航遅れによって「2021年度頃まで継続的負担を覚悟」とされています。

 2015年度における三菱重工の業績は、前年度は386億円のプラスだったキャッシュフローが500億円のマイナスに、そして有利子負債は9755億円から1兆500億円に増大する見通しです。

 同社は有価証券の売却と遊休不動産の活用によって2000億円を生み出し、2016年度のキャッシュフローは1000億円のプラスに、有利子負債も9000億円まで減少させると説明していますが、その経営に現在、“黄色信号”が灯っているといえるかもしれません。

 経営問題がメディアで報じられるなど考えられなかった“巨艦”三菱ですが、改革には痛みが伴う、ということでしょうか。そして「低収益」「改革(するべき)事業」といわれ続けてきた、その造船部門。“日本唯一の大型客船を建造可能な造船所”であるだけに、今後の行方が注目されます。

【了】

Writer:

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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