「100年経っても忘れません」無名の日本商船がギリシャ国民を救った! 軍艦相手に“大立ち回り”まで

日本では無名に近い客船「トーケイマル」ですが、遠く離れたヨーロッパのギリシャではよく知られた船名です。理由は1922年に発生したトルコとの軍事衝突。このとき何があったのかひも解きます。

ギリシャで語り継がれる奇跡の救出劇

 2018年、ギリシャで一本の短編アニメ映画が公開されました。タイトルは『TOKEI MARU』。ギリシャ人監督が手掛けたこの作品は、絶妙なタッチのイラストレーションと、感動的なストーリーで同国では話題を呼びました。

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炎上するスミルナと避難民(画像:パブリックドメイン)。

 この映画、実は日本に大きな関わりがあります。なぜなら、この物語で大きな役割を果たす船「トーケイマル」は日本の商船であり、しかも実話をもとにしているからです。実際にギリシャには「家族が日本の船に助けられた」「父は日本にずっと感謝していた」という人もいるようです。

 とはいえ、ギリシャとは裏腹に日本ではほとんど知られずに終わったこの作品。なぜ遠く離れた中欧では有名なのでしょうか。

 そもそも、作品の舞台は1922年のエーゲ海。第一次世界大戦で敗戦国となったトルコに対し、イギリスの後ろ盾を得たギリシャが1919年に戦いをしかけます(希土戦争)。それにより、戦場となった都市スミルナ(トルコ名イズミル)での出来事です。

 スミルナ周辺は第一次大戦以前のオスマン帝国時代はギリシャ系住民が多く居住していました。そうした民族的な背景を理由に、大戦の敗北により崩壊しつつあるオスマン帝国の混乱に乗じ、同地を領有しようとギリシャ軍が進駐しました。

 しかし、オスマン帝国の後継国家として領土を継承したトルコ共和国が成立すると、国家間の戦争へと進展。結果、トルコが勢力を盛り返し、激しい戦闘により住むところを失ったスミルナのギリシャ人やアルメニア人は、戦火を逃れようと海からの脱出を図りますが、絶対的に船が足りません。そのような状況に、手を差し伸べたのが日本の商船「ト―ケイマル」でした。

【炎上する街…】戦場となったスミルナ(イズミル)の様子(写真)

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