JRで存続できても「切り離す」 行政が先に動いて“破格の応援”を獲得 富山2大ローカル線

富山県のJR城端線・氷見線が今後、第三セクター「あいの風とやま鉄道」へ移管されます。ただ、本来は三セク化やバス転換が検討される基準にも該当せず、いわばJRからの自主的な移管です。なぜそうした決断に至ったのでしょうか。

富山の“南北ローカル線”ともに三セク移管

 富山県を走るJR西日本の城端線・氷見線が2029年ごろに、第三セクター「あいの風とやま鉄道」へ移管されます。JRから三セクへ移された路線は、鉄道としての存続が難しいと判断された路線か、新幹線の並行在来線でしたが、城端線・氷見線はどちらにも該当しません。地元自治体はなぜ「攻めの三セク移管」を決断し、どのような進路を目指すのでしょうか。

 高岡駅(高岡市)から南に向かって伸びる城端線(29.9km)と、能登半島の付け根部分へ北上する氷見線(16.5km)はともに非電化の単線。両線を走るのは日本国有鉄道(国鉄)時代に製造された気動車キハ40とキハ47です。

 城端線は春には沿線の砺波市にあるチューリップ畑を一望でき、氷見線は富山湾と立山連峰を望める区間を走るなど「乗り鉄」に人気があります。両線では観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」(通称べるもんた)も走ります。

 城端線の2023年の旅客輸送密度は1日当たり2540人、氷見線は同2175人で、JR西日本が「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」と見なす同2000人未満には該当しません。

県庁所在地に“お手本”

 城端線・氷見線について「JR西日本から再構築に向けた協議の申し入れがあったわけではない」と富山県は明言します。それでも、地元自治体は利用促進に向けて長年取り組んできた経緯があり、「城端・氷見線活性化推進協議会」を設置したのは国鉄が分割民営化された1987年にさかのぼります。

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富山県高岡市の雨晴海岸沿いを走るJR氷見線のキハ40(大塚圭一郎撮影)。

 検討を進める中で、次世代型路面電車(LRT)化して利便性と快適性を向上する案が浮上しました。一例として県庁所在地の富山市では、旧JR西日本の富山港線がLRT化され、2006年に富山ライトレール(現・富山地方鉄道富山港線)に転換されました。途中に停留場を増設し、運行本数を大幅に増やしたことで利便性が高まり、利用者が大きく増加しました。

 富山市は、交通網が充実した効率的な都市「コンパクトシティー」の成功例として脚光を浴びます。そんな“お手本”を富山県内に抱えている中で、城端線・氷見線沿線の高岡、砺波、南砺、氷見4市とJR西日本が参加する「城端線・氷見線LRT化検討会」が2020年6月に始まり、検討を進めました。

 しかし、LRT化する場合に多額の投資が必要になることが難点となり、出席者からは「所要時間が現状から著しく延びるため、利用者の減少につながるのではないか」といった懸念の声が相次ぎました。

 検討会は最後となる2023年3月の会合で「『新型鉄道車両』の導入を目指す」という結論を出し、LRT化については断念しました。

【2路線一気に!?】これが「自主的に三セク移管」される路線です(地図/写真)

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