R357東京港トンネル、渋滞緩和は限定的? 待たれる立体部建設
空中の整備が東京港トンネルを活かす
千葉県富津市から神奈川県横須賀市まで、東京湾の海岸沿いを約160kmにわたって結ぶ東京湾岸道路は、幅員の合計が100メートルという首都圏最大の道路です。中央部に首都高(6車線)、その外側に国道立体部(4車線)、さらに外側に国道側道部(4車線)の合計14車線が完成形ですが、未だに首都高のみだったり、首都高と側道部のみの区間が多数あります。
14車線が完成している千葉県市川市の千鳥町付近では、1日あたりの交通量が首都高およそ8万台、国道およそ6万台となっており、国道が相当大きな役割を果たしています。しかし、東京都内に入ると国道の立体部は未完成の区間が多くなり、たとえば江東区東雲付近では首都高およそ15万台に対して国道はおよそ4万台と、首都高頼みの比率が断然高くなります(一般道の交通量データは「平成22年度道路交通センサス」による)。
「GoogleMap」のナビ機能を使っていると、千葉県内の東関東道上りから首都高にかけては、ナビが「一旦高速を降りて側道(国道357号線)を進め」と指示することがあります。そのほうが早いと判断されるからです。実際、緻密な渋滞迂回を実行している成田空港リムジンバスは頻繁に“そのテ”を使いますが、都内に入るとまず使えません。どうせ迂回するなら東京ゲートブリッジを回ろう、という大型車はすでに多数ありますが……。
羽田空港側では、城南島から大井ふ頭南側にかけての立体部が未完成で、この区間にあるふたつの信号がボトルネックになっています。
やはり、東京港トンネル一般部がフルに力を発揮するには、国道357号線立体部が全面開通する必要があるのです。
国交省がなにもしていないわけではなく、2年前には新木場立体(2.3km)と大井環七立体(1.3km)が完成しました。しかし依然つぎはぎのまだら状態で、交通容量は太くなったり細くなったり。流せる台数は結局、一番細い部分で決まりますから、全面開通しなければ問題は解決しないのです。
2020年の「東京オリンピック」まであと4年。用地は確保されているのですから、国交省は新木場~有明間の国道立体部建設に猛進すべきではないでしょうか。なにしろ国道357号線は、オリンピックのメイン会場となる湾岸地区を縦断するのですから。
東京港トンネル一般部の全面開通に合わせて、都内の国道357号線立体部がすべて完成すれば、羽田から湾岸地区そして成田方面への交通は、首都高を通らなくてもかなりスムーズになり、それによって首都高の渋滞も減少。「ウィン・ウィン」が達成されるでしょう。
ですが建設予定について再度、国交省に尋ねたところ「未定です」と、にべもないコメントでした。
なお、国道357号線には、神奈川県側にも多摩川トンネルなど未完成の区間がありますが、神奈川県側の首都高湾岸線には渋滞がほとんどありません。まず投資が必要なのは東京都側です。
【了】
Writer: 清水草一(首都高研究家)
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。
近くに住んでいるので、開通したらとりあえず走ってみる予定です。長年にわたって、お台場で途切れてしまう357はイマイチ使い勝手が良くなかったので、片肺状態の開通ではあっても、本当にありがたいです。
また立体化とか言ってるし。
国道357号線の東京港トンネルの開通は待ち遠しいですが、立体化の必要性は無いです。
信号の待ち時間がーーと仰られていますが、所轄の警察署で増えた交通量におおじて、信号の時間を調整させれば良いだけですよね?
それに、首都高を一旦降りて乗りなおすなんてルートは、よほどその近辺を走りなれていないドライバー以外は選択肢に入りません。
立体交差に拘るぐらいなら、3車線化を検討した方が費用対効果が大きいと思います。
西行きで言うなら、辰巳交差点の前後の区間と、有明出口から有明橋の手前までの区間とか。
他に整備が急がれる道路は日本中にいくらでもあります。
さっさと外環道と圏央道を『環』にしてくれ。
立体化にかかる費用を考えたことはありますか?
3車線の高速道路の隣に2車線の立体交差の国道と、2車線の平面交差の国道。
これ程の道路をこの場所に作るほど、この場所に需要があり、作れるほど国の予算は余っているのでしょうか?
他にお金を使うべき道路はいくらでもあると思いますが?
1%や2%程度の交通量の違いは4/1以降の料金改定で余裕で変わってくると思います。逆に一般道が大渋滞する予感がするのですが。
もし湾岸線通行中に東京港トンネルを迂回せざる得なくなった場合、ゲートブリッジ経由の方が早いような気がするが・・・
渋滞の迂回目的なら大井埠頭付近の一般道を整備した方がコンテナトレーラーの待ち渋滞対策を含めて安上がりのような気がする。
東京港トンネル一般道開通はお台場対大井間には(この区間を東京港トンネル経由で運行している路線バスも含めて)恩恵はあるが、限定的な気がする。
偉そうな口調でコメントするのは交通容量の意味を理解してからにして下さい。というか、2車線立体と3車線平面交差のどちらが、より多くの交通量を捌けるのか、考えてみたら?簡単な算数なので、小学生でもわかるよ。
あなたも充分偉そう。
「費用対効果考えると、とりあえず繋がった道路よりも未だ繋がってない道(外環・圏央)の整備を優先してくれ。」、私はhiroyukiさんに同意します。