山手線内“大幅値上げ”で崩れる「中央線最強説」 他社まで揺さぶるJR東日本の運賃改定の“衝撃ポイント”
JR東日本が大幅な値上げを発表しました。とりわけ大きな値上げとなるのが「東京のど真ん中」区間です。これまでが「安すぎた」のでしょうか。東京の鉄道の均衡が大きく崩れる可能性も秘めています。
値上げ後注意の「東海道線&東海道新幹線」
なお、長距離移動の運賃の金額差は、東京~新青森間は1万340円が1万780円に(+440円)、東京~新潟間は5720円が5940円に(+220円)、東京~松本間は4070円が4180円(+110円)に値上げされます。距離を考えるとやはり、東京都心部の値上げ率が際立つところです。
ただ、こうした長距離移動できっぷ購入時に気をつけなければならなくなるのが、東京~熱海間のきっぷの扱いです。
これまで同一区間と見なされていた東海道本線と東海道新幹線の東京~熱海間において、在来線と新幹線が“分離”されます。そのため、この区間は普通乗車券の売り分けが行われることになり、在来線経由のきっぷで新幹線に乗ることはできなくなり、新幹線経由のきっぷでも在来線に乗ることはできなくなることが大きな注意点です。
しかし、これは静岡県のJR東海エリアから東京へ通勤・通学する人などにとって、利便性を大きく損ねます。そこでJR東海の丹羽俊介社長は、JR東日本が値上げを発表した後の12月12日、定例会見において、「東京~熱海間の東海道新幹線の定期券は在来線の運賃に合わせて値上げする」考えがあることを発表しています。こうすることで通勤定期券、通学定期券いずれの定期券においても、新幹線と在来線のどちらも乗車できる利便性が維持されることになる見込みです。
また、JR東日本からJR他社へとまたがって乗車する場合の運賃は、現在の幹線の運賃を基準額として、その基準額にJR東日本乗車区間における値上げ相当額を“加算額”として加算した合計が運賃となります。
例えば大船から国府津乗り換え・御殿場線経由で御殿場へと幹線66.7kmを移動した場合、これまでは1170円でしたが、JR東日本区間である大船~国府津間の31.2kmについては加算額である30円をプラスすることとなり、合計した1200円が値上げ後の運賃となります。
※ ※ ※
JR東日本は約39年の歴史の中で初めての値上げに踏み切ることになりましたが、同時に、これまで取り組んできた安全や街づくり、地方創生、環境への取り組みと、将来に向けての取り組みの数々についても公表しています。
Writer: 真柄智充(鉄道や旅の編集者)
1972年埼玉県浦和市(現・さいたま市)生まれ。雑誌「旅と鉄道」元編集長。26年間にわたる編集プロダクション、出版社勤務において、編集者として400点以上の雑誌、ムック、書籍を制作。2024年に独立。
コメント