自衛隊にしかない! 究極のDIY装備「92式浮橋」とは「え、ブリッジじゃない使い方するの!?」
民間のインフラや技術に依存せずに一定期間活動する能力、いわゆる「自己完結性」を保持する自衛隊には、短時間で橋を架けることが可能な装備があります。そのひとつ、「浮橋」の訓練を取材しました。
東日本大震災で災害派遣活動も
この混合橋のメリットは、水深や流速などの関係で単一の架橋では架設できない場所や、架橋装備が足りない場合などにも対応できる点です。
今回の訓練では、92式浮橋も81式自走架柱橋も架設できる場所だったのですが、いざという時に困らぬように訓練の一環として混合橋を架設していました。
また、架橋後には今年(2024年)3月に新編されたばかりの第10偵察戦闘大隊が保有する16式機動戦闘車が橋を通行して、その耐久性と利便性を確認していました。
なお、2011年3月に起きた東日本大震災では、宮城県柴田町の船岡駐屯地に所在する第2施設団によって92式浮橋が被災地での活動に投入されています。用いられたのは、宮城県の東松島市で、沖合にある宮戸島とのあいだに架かっていた橋が津波によって流されてしまったため、92式浮橋のはしけ(重門橋)を使って島に油圧ショベルなどの重機が運ばれています。
このように浮橋は災害派遣でも有用な装備です。活躍しないに越したことはありませんが、いざというときは頼りになる大型装備ともいえるでしょう。隊員たちは、万一の時に備えて真剣な眼差しで訓練にあたっていました。
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
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