「見たことないカワイイ車!」が、どうして“フツーの軽”になっていった? 偏愛で語るホンダ「トゥデイ」の13年
ホンダの歴代軽自動車のなかでも特に鮮烈な印象を残した「トゥデイ」。ヒットを記録し、さらに“幅広いユーザーを取り込む”進化をしていった結果、なぜか“フツーの軽”になっていったのも事実です。今なお根強い人気を誇るモデルを振り返ります。
「カワイイ路線」と「漢の路線」
ところで、なぜかホンダは歴史的に、「初代で好評価を得たクルマ」が、以降の派生モデルなどで迷走し始める傾向があると感じています。あくまでも想像ですが、以下のような流れから来ることなのかなとも思います。
ホンダの偉い人「最近トゥデイが売れてるらしいな。グッドデザイン賞まで取って」
トゥデイ担当者「そうなんです。おかげさまで」
ホンダの偉い人「それはおおいに良いことだが、売れてるんならもっと売らないと。販売向上チームを作って、みんなの意見を反映してさらに売れるようにしよう」
トゥデイ担当者「……は、はい!」
しかし、多くの意見を取り入れると、得てして本来の良さが薄まるのも事実。結果、「初代でみんなが評価したのは、そんなところじゃないような……」と思う方向に向かっていくことがホンダには多いように感じるのですが、これは筆者だけが思うことでしょうか。
トゥデイは1987年にポシェットという特別仕様車が展開されますが、そのカラーは“サーティワンアイスクリーム的なミントブルー”でした。
時代的にはもう流行りが終わりつつあったパステルカラーを採用し、ママさん向けのような路線が打ち出されました。
一方、1988年からトゥデイは男性向けをも意識してか、初代のリトモ的なかわいい丸目のヘッドライトが廃され角目ライトになりました。トゥデイらしさが薄まり少し残念に思う一方、全車に3気筒ハイパー12バルブ新エンジンおよび新設計のオートマトランスミッションを搭載。さらにはオプションで電動サンルーフなどを選択することもできました。
初代で評価を受けたトゥデイから、さらに「女性」「男性」双方のユーザーを取り込むべく、はっきり区分けしたモデル展開を目指していったように映ります。
これが良いかどうかは人それぞれ感じ方が異なるはずですが、筆者個人的には、やはり初代のデザインや印象を崩さず、走行性・安全性のみをブラッシュアップしてくれていたら……とつい思ってしまうのも正直なところです。
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