「見たことないカワイイ車!」が、どうして“フツーの軽”になっていった? 偏愛で語るホンダ「トゥデイ」の13年

ホンダの歴代軽自動車のなかでも特に鮮烈な印象を残した「トゥデイ」。ヒットを記録し、さらに“幅広いユーザーを取り込む”進化をしていった結果、なぜか“フツーの軽”になっていったのも事実です。今なお根強い人気を誇るモデルを振り返ります。

8年目にしてフルチェン! 「え、フツー…」

 こうマイナーチェンジを繰り返していたトゥデイでしたが、ここまでの試行錯誤で明確な答えを見つけたのか、累計売上が71万台となった1993年、ついにフルモデルチェンジ。初代の面影はヘッドライトが丸目に戻った程度でしたが、コンパクトになりながらも流れるようなデザインは、「新しいトゥデイ」として十分な完成度に見えます。

Large 20250108 01

拡大画像

トゥデイのラインは3代目ライフに集約されることに。ここまでのトゥデイの様々な試行錯誤を思えば、ホッと安心するところも(画像:ホンダ)。

 また、走行性・安全性ははるかにアップ。「軽自動車がセカンドカーとして使われている」点に着目し、コンパクトにさせたことで、積載性よりも快適な運転性能を優先させていることがわかります。トランクリッドが“下に開く”点も特徴的でした。

 初代とは大きく変わったデザインながらも、ホンダらしい優れたデザインで良いなと思うのですが、この2代目もまた「やっぱそっちに行くんすね……?」的な展開に。

 複数回のマイナーチェンジを経て、だんだ“普通の軽自動車”になっていき、1996年のモデルでは紫色になってしまいました……。今になって思えば先のミントグリーン同様、トゥデイはママさんを意識せざるを得なかったモデルのようにも感じます。

 結果的にトゥデイは1998年に姿を消すことになりました。もっともこれは軽自動車規格変更の影響であり、ホンダにおけるトゥデイのラインは、3代目「ライフ」に集約されることになりました。

 他方、いまだにコアな人気を誇るのも事実で、トゥデイをベースにしたレースが今日も密かに行われており、YouTubeなどでもその様子を見ることができます。

 特にホンダオート岡山販売によるカスタムトゥデイは、サーキットでフェラーリやポルシェを煽って追い抜く「世界最速軽自動車」と言われ、660ccにして250馬力をも発揮するオバケマシンとしても注目されています。

 こんな様々な逸話のあるトゥデイ。かつて乗っていた人も、そうでない人も改めてトゥデイの面白さに注目されてみてはいかがでしょうか。

【超似てる!】トゥデイの元ネタ車?&たしかにフツーになっていった歴代トゥデイ(写真)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

最新記事

コメント