「地下鉄は走ってるのに…」 年越し終夜運転に落とし穴!? “帰宅難民”が毎年大量発生する英ロンドン大みそかの夜
大みそかのカウントダウンライブや元旦の初日の出、初詣といった年越し行事を支えているのが、鉄道の終夜運転です。英国ロンドンも地下鉄やバスが終夜運転を行いますが、日本と違って“落とし穴”があります。
地下鉄は終夜運転していても、駅は閉鎖
除夜の鐘をつき、家族や友人と夜を徹して語らったあと、初日の出を拝む。こうした元旦ムードを支えてきたのは、各鉄道会社が大みそかから元日にかけて実施している終夜運転です。
筆者(赤川薫:アーティスト・鉄道ジャーナリスト)の住む英国ロンドンも大みそかから元日にかけて地下鉄の終夜運転がありますが、あいにくサービスには落とし穴があり、使い勝手が悪いのが現実です。ロンドンで年越しを考えている人は、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
実は、ロンドンの地下鉄、近郊列車、バスの主要路線では毎週、金曜と土曜に終夜運転が実施されています。そのため終夜運転は年に一回の特別なサービスではありません。しかし「日頃から終夜運転が行われているのだから、年越しの終夜運転も問題ない」と思いきや、そうではありません。
ロンドンの年越しの大イベントといえば、ロンドン市長主催で開催されるテムズ川の花火大会があります。深夜0時を回った瞬間、欧州最多(ロンドン市公式ウェブサイトによる)の約1万2000発の花火が、音楽やイルミネーションとシンクロしながら20分間で打ち上げられまくるとあって人気が高いイベントです。
しかし、花火が終わって帰宅しようと思っても、地下鉄は終夜運転のはずなのに花火イベントの最寄り駅はどこも閉鎖されていて、開いている駅を探し求めて何キロも歩き、家に着いたのは明け方だった――というのは、よく聞かれる話。というのも、1906年開業のピカデリー線など、ロンドンの地下鉄はどこも設備が古くてホームが狭いため、ある一定以上の乗客が押しかけると事故防止のために駅が降車専用になってしまったり、駅自体が閉鎖になり、電車は通過して止まらなくなったりします。そのため、人出が多い場所・時間帯では、地下鉄に乗れない事態が頻発するのです。
大人気の花火ゆえ、川沿いでの鑑賞にはチケットの購入が必須で、総計10万枚が販売されますが、チケットを入手できなかった人も花火をどうにかチラ見できないかと付近に押し寄せます。そのためもちろん、あたり一帯の地下鉄駅は封鎖されます。地下では終夜運転の列車が走っていますが、地上では駅を目指す帰宅難民が毎年、大量に排出されるというわけです。
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