JRのきっぷは途中駅で「改札の外」に出られる!? 旅行や帰省の幅を広げる“知っておきたいルール”とは

JRの長距離きっぷでは、経路上の駅で追加の料金を支払うことなく途中下車できる仕組みがあります。この仕組みを知っていれば、年末年始の旅行や帰省の幅が広がりそうです。

長距離乗車券は途中駅で「改札の外」に出られる

 JRの長距離の乗車券には、途中で改札口の外に出られる「途中下車」という制度があります。近距離で乗車する場合、運賃は出発駅~目的の駅までの運賃をその都度支払いますが、この制度を使えば、出発駅~目的の駅までの経路上にある駅であれば何度でも途中下車ができる仕組みになっています。ただし、あと戻りはできません。

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東海道新幹線の車両(画像:写真AC)

 ここでいう長距離とは、出発駅~目的の駅までの営業キロ(運賃を計算するためJRが定めた駅間の距離)が101km以上の場合をいいます。このときに発行される乗車券は途中下車が可能になります。

 ただし、東京・仙台・新潟・大阪・福岡には「近郊区間」が定められており、この区間内だけを発着する乗車券では、たとえ101km以上でも途中下車ができないので注意が必要です。例えば、松本~銚子間は最短の営業キロが353km(小数点以下は切り上げというルール。以下同)ですが、長野県といえど“東京近郊区間内”を発着するため、途中下車はできません。

 途中下車制度をうまく使えば、旅行や帰省の「味変」ができます。沼津からの帰りに熱海、小田原、横浜で途中下車し、高円寺へ帰る場合を例に考えてみましょう。次のような経路が考えられます。

(1)沼津~(東海道線)~熱海・小田原・横浜~(東海道線)~東京~(中央線)~高円寺:143km

(2)沼津~(東海道線)~熱海・小田原・横浜~(東海道線)~品川~(山手線)~新宿~(中央線)~高円寺:136km

(3)沼津~(東海道線)~熱海・小田原・横浜~(湘南新宿ライン)~新宿~(中央線)~高円寺:136km

 沼津~高円寺の運賃はいずれの経路も2310円。もちろん、途中下車が可能です。なお、(1)は本来の運賃ならば2640円ですが、特例により最短経路の運賃が適用されます。

 このとき、沼津~熱海、熱海~小田原、小田原~横浜、横浜~高円寺とそれぞれ運賃を支払う場合は420円、420円、990円、660円で合計2490円となり、180円高くなります。1枚のきっぷで、帰りに熱海で温泉に入り、小田原でお土産にかまぼこを買い、横浜で食事をして帰ることができるわけです。区間を指定しない交通系ICカードでの改札ではできない買いかたです。

【画像】このきっぷは注意!これが「途中下車できない」JRきっぷ一覧です

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