中国海軍「異形の新型軍艦」は何者?強襲揚陸艦…のはずなのに“空母っぽい”装備? 考えられる理由とは
2024年12月27日、上海の造船所で建造が進められてきた中国海軍の新型強襲揚陸艦「四川」が、進水式を迎えました。しかし、同艦には通常、空母に搭載されている装置の搭載が確認されています。これは何を意味するのでしょうか。
中国海軍の将来に向けた布石か? 考えられるもう一つの理由
もう一つは「四川」(076型)を次世代空母のテストベッドとして使用するという可能性です。
中国人民解放軍海軍は2025年1月現在、3隻目の空母「福建」の戦力化に向けた試験を行っています。「福建」は電磁カタパルトとアレスティングワイヤーフックを備えていますが、これらを使用する艦載機の運用試験を「福建」1隻で担当するには荷が重く、「四川」が分担する可能性は高いと思われます。
「福建」は航海・戦闘艦橋と航空機の指揮所などが一体化された艦橋を採用していますが、「四川」は前述のように前にも述べたようにツイン・アイランド方式を採用しており、実運用を通じて次世代空母の艦橋にはどちらがふさわしいのかを見極める狙いがあるのかもしれません。
これまでにも、中国人民解放軍海軍は駆逐艦建造に関して、テストベッドの役割を担う広州級(052B型)を2隻建造して実運用で問題点を洗い出し、それを反映して大幅な設計変更を加えた蘭州級(052C型)駆逐艦の大量建造を行っています。
2025年1月現在、076型の2番艦の建造は確認されていませんので、「四川」は広州級駆逐艦と同様、次世代空母や次世代強襲揚陸艦のテストベッドとしての役割も果たす、姉妹艦のない1隻だけのフネになる可能性もあると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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