養老線の事業形態変更へ 2017年度、沿線自治体などが新法人を設立
近鉄と養老鉄道、沿線7市町は、養老線の事業形態変更に関する基本的な方針を記した確認書を取り交わしました。新たに設ける経営安定化基金に近鉄が10億円を拠出することや、鉄道施設、用地などの貸与や譲渡などを定めた内容が盛り込まれています。
2017年度、養老線の保有は近鉄から新法人に
近鉄と養老鉄道および沿線7市町は2016年5月6日(金)、養老線の事業形態変更に関する基本的な方針について、合意に至り確認書を交換したと発表しました。
2016年3月の基本合意では、「第二種鉄道事業者」は引き続き養老鉄道で変わらないものの、鉄道施設や車両を所有する「第三種鉄道事業者」は、近鉄に代わり沿線7市町などが出資して設立する新法人が担うことなどを確認。この事業形態への移行は、2017年度中をめどに行われる予定です。
このたび取り交わされた確認書では、近鉄が新たに設けられる「養老鉄道経営安定化基金」に10億円を拠出。また、養老鉄道の人件費が2014年度実績額を上回った場合、その額を負担することとされました。
確認書ではこのほか、近鉄が新法人に鉄道施設を無償譲渡および用地を無償貸与することや新法人が養老鉄道に施設や用地などを無償貸与すること、近鉄名古屋線との設備分離工事は近鉄の負担で行うことを記載。また、鉄道事業が廃止される場合、新法人は施設を存置したまま用地を近鉄に返却することなども盛り込まれています。
養老線は桑名駅(三重県桑名市)からおおむね揖斐川沿いに北上し、大垣駅(岐阜県大垣市)を経て揖斐駅(岐阜県揖斐川町)に至る長さ57.5kmの鉄道路線です。
1940(昭和15)年以降、近鉄(元・参宮急行電鉄)の路線のひとつとして運営されてきましたが、2007(平成19)年10月から近鉄が、養老線の線路や施設を保有、管理し養老鉄道にその線路を使用させる「第三種鉄道事業者」として、近鉄の子会社である養老鉄道が、近鉄の所有する線路を使って列車を運行する「第二種鉄道事業者」として養老線を維持していく体制に変わりました。
しかし利用者は減少傾向にあり、養老鉄道の経営においても2014年度の経常損益はおよそ10億円の赤字になるなどの状況が続いています。そこで近鉄と養老鉄道、沿線7市町は三重県、岐阜県も交え、養老線の今後のあり方について検討を重ねていました。
【了】
コメント