運賃表に“金額空欄”のナゾ駅発見 東武のお膝元で東京メトロが管理する「押上駅」4番線に見る“境界らしさ”

東京メトロ半蔵門線と東武スカイツリーライン(伊勢崎線)が乗り入れる押上駅は、両社の境界駅でもあります。1番線と4番線にはそれを示す標示が。また、券売機の運賃表は、わけあって値段が空欄の駅が存在するなど、ユニークな見どころが複数存在します。

運賃表に「金額空欄」の駅

 自動券売機は多くの境界駅と同様に、メトロと東武のものが同じスペースに並んでいます。ただし、東武は交通系ICカード非対応で現金のみ。さらに特急電車や「SL大樹」「THライナー」などの座席指定券は発売されていません。ただ、徒歩圏内にとうきょうスカイツリー駅もありますから、特に困ることはなさそうです。ちなみにきっぷのロール紙は東武のものが装填されています。

 東武の券売機上の、広大なエリアをカバーする路線図を眺めていると、ある違和感に気づきます。とうきょうスカイツリー駅への運賃が記載されていないのです。路線図では「当駅」から曳舟を経由して浅草方面へ向かっているのに……。

 これは、東武スカイツリーラインの曳舟~押上間が、かつてから存在する曳舟~とうきょうスカイツリー(旧業平橋)駅の線増という形をとっていることが要因です。運賃計算上、押上ととうきょうスカイツリーは同一駅として扱われるため、東武では発売のしようがないのです。

 とはいえ、運賃表に記載がないって、ちょっと不思議な光景ですよね。ちなみに、押上駅はスカイツリータウンに直結しています。とうきょうスカイツリー駅へ移動する場合、せっかくですから散策しながらの方が楽しそうですね。

 なお、改札外には、2001(平成13)年11月10日に実施された、押上~錦糸町間の工事中のトンネルを歩くイベントに参加した子どもたちの手形が飾られています。半蔵門線のトンネルを歩いたという思い出を残してもらおう、そして大人になった時、自分の子どもたちと一緒に再びこの地を訪れてほしいという願いが込められているとのこと。なんだかロマンチックな押上駅の一面を見ることができました。

【金額空欄】押上駅の券売機と運賃表を見る(写真)

Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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