『ガンダム』世界の“空飛ぶゲタ”巨大兵器どうやって運んでいる? 真面目に考察してみた
『機動戦士ガンダム』シリーズでは定番となっている「サブフライトシステム」通称「ゲタ」はどのような理屈でMSを運ぶようになったのでしょうか。
元々MS以外の何かを積む予定だった?
とはいえ、ここで不思議なのが、「ドダイ」はMS搭載用航空機として開発されたわけではないのに、機体上部の強度がMSの直立に耐えられ、80tのグフを搭載しても戦術機動が可能なほどの高い飛行性能を誇るという点です。単純に考えて、片足ごとに40tの重量がかかることになりますから「最初からMSではない何か」を載せるつもりで設計されたと思えます。
これはミノフスキー物理学で、航空機上に重量物を搭載できることが判明したことで、飛行可能戦車「マゼラ・アタック」などの陸上兵器を搭載することも研究されたということではないでしょうか。その一環で、最大の「重量運搬物」として想定されたのは、ICBM(大陸間弾道核ミサイル)だったのかもしれません。
2022年6月に公開された映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、地球連邦軍のICBMをジオン軍が入手して、戦局の不利を挽回するために発射するシーンがあります。この作品は、『ガンダム』シリーズの中の1ジャンルと言える「THE ORIGIN」の世界観を順守したものであるため、ファーストガンダムの世界観とは異なるパラレルワールドではありますが、人口や国力で劣るジオンが、地球を支配するためには、連邦軍が持つICBMの入手・管理が必要だと考えたのは合点がいきます。
例えばアメリカ軍のICBM「ピースキーパー」は、全長21.6m、直径2.34m、発射重量8.8tで、全長23mの「ドダイ」に搭載可能です。大きさ的には機内に収容できないものの、「ドダイ」の上面であれば「ピースキーパー」を数本は輸送できるでしょう。
こうした推察から、筆者は「ドダイ」というのは、ジオン公国が地球連邦軍の核ミサイルを輸送・管理し、地球を支配する抑止力として使うために開発した軍用機で、そのように設計されたものの「南極条約」で核の使用が禁止されたために、その必要性が低下した。だから、新たな用途としてMSの搭載を検討したら、寝そべらせなくても立ったまま戦闘できるという、新たな運用方法が確立されたとの仮説を立てました。
このような「ドダイ」×MSというジオン側の運用方法を目の当たりにした地球連邦軍は、「ガンダム」の輸送機である「Gアーマー」で、同じような運用を模索した結果、なんと「Gファイター上面にガンダムが乗って飛行可能」という戦術を編み出したのではないか、と考える次第です。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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