1万トン超え「デッカイ北極向け砕氷研究船」まもなく誕生! 日本の将来担う船、JAMSTECの見解は?
2025年3月に進水予定の北極域研究船「みらいII」。同船は日本初の砕氷機能を持つ研究船として建造されていますが、同船が果たす役割は単に北極海の観測にとどまらないようです。じつは国家戦略にも直結するスゴい船でした。
南極観測船「しらせ」と比べてみると
「みらいII」は、IACS(国際船級協会連合)が定める極地氷海船階級(ポーラークラス、PC)のうち、北極域で通年航行できるPC4に対応しています。砕氷能力は平坦1年氷1.2mを3ノット(約5.56km/h)の速度で連続砕氷可能です。これにより、海氷で覆われている中央北極海まで観測範囲を広げることが可能で、晩春や初冬の時期もデータが収集できるようになるとJAMSTECなどでは見込んでいます。
全長は128m、幅は23m。船体規模は国際総トンで1万3000トンと、既存の「みらい」(8706総トン)より大きくなっています。なお、参考までによく知られた南極観測船(砕氷艦)「しらせ」の大きさは、全長138m、幅28.0m、基準排水量1万2650トンです。
「みらいII」の後部甲板には、ヘリコプターやドローンの運用を想定して格納庫とヘリ甲板を設置。運航を担う乗組員34人に加えて、研究者など63人が乗船できる居住区画も設けられます。
また、観測作業エリアで様々なサンプルを回収して、速やかにラボエリアに搬入し、処理・分析・保管まで迅速かつ効率的に行えるよう、上甲板の動線をシンプルなものにしていているのも特徴だとか。なお、通常海域の航海速力は12ノット(約22.22km/h)程度ですが、最大で17ノット(約31.48km/h)を発揮することが可能です。
「『みらいII』では、船上からクレーンで吊り下げることができる『マンライディング・バスケット』に研究者の人たちを乗せて、海氷の上に降ろしての海氷サンプリング調査などができるようになる。この海氷への直接アクセスとサンプル採取は現行の『みらい』ではできない新しい観測になる」と赤根部長は述べていました。
加えて「みらいII」には、降雨や降雪といった気象観測を行うため、ドップラーレーダーを搭載するほか、新たな観測設備として水深3000mクラスのROV(遠隔操作型無人探査機)を搭載する予定です。
砕氷艦「しらせ」は
文部科学省の予算で建造され
海上自衛隊所属だが?