1万トン超え「デッカイ北極向け砕氷研究船」まもなく誕生! 日本の将来担う船、JAMSTECの見解は?
2025年3月に進水予定の北極域研究船「みらいII」。同船は日本初の砕氷機能を持つ研究船として建造されていますが、同船が果たす役割は単に北極海の観測にとどまらないようです。じつは国家戦略にも直結するスゴい船でした。
人工衛星や航空機での観測が難しい北極域
海洋に関する幅広い研究と調査を担っているJAMSTEC(海洋研究開発機構)の新たな船「みらいII」がまもなく進水する予定です。
同船は北極海を観測するために砕氷能力が付与されていますが、そのような船の導入は日本初。国際研究プラットフォームとして活用できる設備を整えるほか、環境負荷を低減できるLNG(液化天然ガス)燃料が使用できる発電機を搭載し、時期によっては北極点付近まで到達を目指す最新鋭の研究プラットフォームとして設計されています。
同船は現在、JMU(ジャパン マリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場で建造しており、竣工後は商船三井が運航を担います。
近年、北極海は地球温暖化といった環境変化と、それに伴う北極海航路の開拓といった社会経済活動の活発化という側面で注目されています。これについて、JAMSTEC北極域研究船推進部の赤根英介部長にハナシを聞いたところ、「北極というデータの空白域を埋めていくことが、この船の1丁目1番地の役割」と話していました。
これまで北極海は分厚い氷に覆われており、海氷が太陽の熱を跳ね返すことで地球温暖化を防いでいました。しかし海氷が減少することで、北極海そのものが太陽の熱を吸収しやすい状態へと変貌。海水が温まりやすくなり、それがさらに海氷の減少を促すという負のサイクルが発生しています。北極海の海氷減少は、巡り巡って日本に対しては豪雪の増加などの形で影響をもたらしており、防災という観点からも実態の解明が重要となっています。
一方で太平洋や大西洋などは、船舶だけではなく自動観測フロートなど様々な手段を使って観測が行えるものの、北極海は海氷に阻まれているためアクセスが難しく、自動観測手段も満足に使用できません。
「北極海の環境を把握しなくてはいけないと言いつつも、観測データが十分に得られていないのが現実。南極周辺と比べても北極海は圧倒的に観測データが不足している」(赤根部長)
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