ステルス戦闘機F-35の致命的な弱点とは? 自衛隊も導入中の新鋭機、ようやく解決策が登場

航空自衛隊も導入を進める最新ステルス戦闘機F-35の最新型「ブロック4」が2024年から引き渡しを開始しました。ただ、F-35にも欠点があるとのこと。とはいえ、そこをカバーするためのアダプターが開発されている模様です。

サイドキック化で空戦能力はF-22並みに

 近年、西側諸国は従来の「対テロ戦争」から、比較的大規模な「国家間戦争」への備えに軍備をシフト(再編成)しており、大規模な空軍同士が戦うような状況も想定されるようになりました。この場合、F-35のステルスモード時におけるミサイル搭載量の少なさは、欠点のひとつになるでしょう。

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AIM-120「アムラーム」の発射試験を行うF-35A初号機。ミサイルが搭載されている内側のステーションがサイドキック化により2発搭載できるようになる(画像:アメリカ空軍)

 そうした、兵装搭載量の少なすぎる欠点の解決策として開発されているのが、サイドキックアダプターです。このシステムは、F-35のウェポンベイのドア部にあたる兵装搭載ステーション5/7に対して空対空ミサイルを連装で搭載できるようにするもので、これによりF-35は「ステルスモード」においても、AIM-120のような中射程空対空ミサイルを6発搭載することが可能になります。これにより、F-35の空戦能力を50%引き上げられると考えられています。

 一例を挙げると、F-22「ラプター」の兵装搭載量はAIM-120が6発、自衛用の短射程空対空ミサイルAIM-9「サイドワインダー」が2発なので、中距離空対空ミサイルに限れば、サイドキックアダプターを付けたF-35は、F-22に匹敵する能力を得ると言えるでしょう。

 F-35 ブロック4に対して、サイドキックアダプターがいつ追加されるのか、それについては現在のところ未定ですが、ブロック4アップグレードの完了目標は2029年なので、性能向上が順調に進めば2020年代中に実用化される可能性は高いです。

 なお、サイドキックアダプターが取り付け可能なのは通常離着陸型のF-35A、および艦載型のF-35Cだけです。垂直離着陸型のF-35Bは「リフトファン」を胴体中央に備えている影響で、ウェポンベイの容積がやや小さくなっていることから、対象外となります。

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Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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