今や伝説「東武の路面電車」そのまんま!? 今も現役で走ってます! でも1両は「化けてます」
半世紀余り前に廃止された東武鉄道の路面電車の車両が、今も岡山市の岡山電気軌道で走っています。ほぼ姿を消した大手私鉄の路面電車を気軽に追体験できる全国でも珍しい路線ですが、ワケあって「期間限定」の運行です。
1両は「化けて」ます
岡電で現役の旧日光軌道線車両は2両あります。1つは当時の塗装にした3005号で、もう1つは沿線の岡山城(烏城)に合わせて烏の濡れ羽色で塗った黒一色の「くろ」3007号です。
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うち「くろ」は現行シーズンでは2024年10月13日から東山線を1日に3往復しており、3005号は24年11月2日から毎月第1土曜日に2往復しています。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は両方の電車が繰り出す2025年1月4日に訪れました。「グオー」という重低音を立てながら発進する「吊りかけ駆動」の乗り心地を楽しむファンが多く乗車し、沿線にはカメラを向ける愛好家も目立ちました。
午前9時24分から11時24分まで東山~岡山駅前を3往復する「くろ」の車内には、大正浪漫の世界を描いた岡山県出身の画家・詩人の竹久夢二を題材にしたイラストを施しています。2024年の夢二生誕140年を記念し、扉を開けている間に夢二が作詞をした歌曲「宵待草(よいまちぐさ)」のメロディーが車内外に流れる機能が追加されました。
一方、11時12分から12時44分まで東山~岡山駅前を2往復する3005号は、床に木の板を敷き詰めており、窓際に朱色の生地のロングシートが伸びています。壁には日光軌道線時代の「市内電車・ケーブル沿線案内図」を掲示しており、日光を駆けていた時代をしのばせてくれます。
岡電東山線は岡山駅前~県庁通り間ならば大人120円で乗車でき、他の区間は140円です。1日乗車券は400円で購入でき、手ごろにレトロ車両を堪能できました。
ただ、老朽化しているだけに運用上の難点もありました。バリアフリーの低床式車両とは異なり、乗降口の段差が大きいことからお年寄りは乗車しにくく、他の利用者が手伝っていました。
また、3005号の降車ボタンがこの日は正常に作動せず、途中下車するためのボタンを押しても鳴らないことに焦っている乗客がいました。利用者からの申告で運転士もトラブルを把握したため、各停留場に着く前に車内放送で「本日は降車ボタンが故障しているため、お降りの方は乗務員にお声がけください」と周知した方が良いのではないかと思いました。
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