信号機に「“一部”歩者分離式」と書いてあったのですが… 普通の信号機と何が違うのでしょうか

東京都内ではただの「歩者分離式」でない「“一部”歩車分離式」と書かれた信号機が見られます。いったいどのような信号機なのでしょうか。

歩者分離式のメリット・デメリット

 都市部の大きな駅付近や学校の前などの交差点では、「歩者分離式」の信号機が見られます。クルマと歩行者が交錯しないよう、クルマ用と歩行者用の信号表示を完全に分離し、「クルマがだけが通る時間」「歩行者だけが通る時間」をつくる方式です。特にクルマの右左折時に横断者と衝突するリスクを減らすため、導入が進んでいます。

 

 ただ、東京都内では「“一部”歩車分離式」と書かれた信号機も見られます。これはどのような方式なのでしょうか。

Large 20250212 01

拡大画像

「一部歩者分離式」と書かれた信号機(大藤碩哉撮影)

 例えば大崎警察署(品川区)付近の山手通りに設けられた「一部歩車分離式」信号機を観察していると、歩者分離式にもかかわらず、クルマ用と歩行者用の信号機で同時に青になる時間がありました。これこそが「一部」の正体です。

 具体的には、山手通り側の信号機はクルマ用・歩行者用ともに青になり、この時点では一般的な信号機と変わりません。やがてクルマ用・歩行者用ともに赤になり、次は交差する側が青になるのですが、ここで先にクルマ用が青に。歩行者用は赤なので、この時点で歩者分離式となっています。

 やがてクルマ用の信号機が赤になると、続いて交差する側と山手通り側の歩行者用信号機が同時に青に。この段階では、全方向のクルマは赤信号で停止、逆に全方向の歩行者は青信号で横断可能というわけです。

 ところが、交差側の歩行者用信号機が点滅を始めても山手通り側は青のまま。交差側が赤になると山手通り側のクルマ用信号機が青になり、歩者分離式ではなくなりました。つまり、1サイクルの特定の時間だけ歩者分離式となるため、一部歩者分離式というわけです。

 歩者分離式では、クルマと歩行者の双方とも赤信号が長くなり、交通量が多い交差点では渋滞の原因になったり、歩行者が滞留スペースからあふれたりすることがあります。そこで、安全を確保しつつ部分的に青信号の時間を増やし、交通の円滑化を両立させた信号機が、一部歩者分離式といえるでしょう。

【つまり…】イラストで解説「一部歩者分離式」信号機

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. Windowsパソコンで普通に変換したら歩車と出るのに、乗りものニュース編集部さんは、ほこうしゃと入力、変換して「行」を消しているんだろうな。

    一部分離することはいいと思うけれど、看板はどうかなと思う。

    歩車分離式という看板を見ると、車の運転者は横の信号が赤になってもすぐ自分の前の信号が青になるとは限らないから気を付けてねというメッセージになるが、一方で、自分の前の信号が青だと歩行者は入ってこないという風にもとらえられる。この記事の解説を読まないと一部の意味が理解できなかったが、「一部」のフォントの大きさを控えめにして書くのは危ないのではないかと思う。