「陸の孤島と化した被災地に自衛隊がスーパーメカですぐ来てくれる」という幻想 琵琶湖の訓練で現実を見た
能登半島地震では、「陸の孤島」と化した被災地域への救助活動が難航しました。それから1年後、琵琶湖西岸が被災地域となったという想定で、陸上自衛隊が「南海レスキュー2024」を実施。ここも有事の際は陸の孤島と化す可能性があります。
琵琶湖西側の地域が孤立した想定で訓練
南海トラフ地震にも関心が集まるなか、2025年1月に陸上自衛隊中部方面隊災害対処実動訓練「南海レスキュー2024」が実施されました。目的は、孤立地域における発災直後(発災~72時間想定)の初動対処を焦点とした実動訓練。つまり陸の孤島をいかに助けるかに焦点が当てられたのです。
その一場面が94式水際地雷敷設車による物資輸送でした。この装備は海岸線で敵の上陸を妨害する水際地雷(機雷)敷設する水陸両用車ですが、東日本大震災で救助のため出動した実績もあります。
本訓練では被災と雪害によって滋賀県湖西地域の高島市が孤立したという想定で、病院に必要な物資を琵琶湖経由で運ぶ任務を担いました。高島市は西側を山地、東側を琵琶湖に囲まれており、孤立する可能性がある地勢でもあります。
道路が不通となれば、空路か海路(今回の場合は琵琶湖)からアクセスするしかありません。能登半島地震ではヘリコプターや海上自衛隊のホーバークラフト(LCAC)が活躍しました。水陸両用車もこうした場面で使えそうです。
大きな水陸両用車が人員や物資を載せて、へん水(進水)や上陸するシーンだけ見ていれば迫力があり使えそうな気がします。しかし大きな水陸両用車がへん水できる場所や上陸する場所は限られます。水陸両用だからといってどこでも走り回れるわけではありません。入念な事前準備と調整が必要になります。
実際の地雷敷設任務でも、ダイバーが先行偵察して水路や上陸できる場所を確認し、地形や気象状況を見極めなければなりません。さらに、へん水地域や上陸地域には、進路標識の設置やスタック防止措置などいくつもの事前作業が必要になります。災害派遣でも基本手順は変わりません。
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