海自の護衛艦「無人機どっさり空母化」実現するんじゃ… 新型「めちゃくちゃ短いカタパルト」がスゴイ

アメリカのジェネラル・アトミクス社は、同社がすでに開発・製造している空母用電磁カタパルトで培われた技術をもとに、無人機射出用カタパルトのコンセプトを発表しました。じつはこれ、海上自衛隊にとっても他人事ではないようです。

超コンパクトな電磁カタパルトを発表

 アメリカの大手防衛関連企業であるジェネラル・アトミクス(GA)は2025年1月14日、アメリカのテキサス州アーリントンで開催された「SNA(Surface Navy Association)シンポジウム」の会場で、カタパルトを持たない艦船から、固定翼機型UAS(無人航空機)を射出するシステムのコンセプトを発表しました。

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海上自衛隊が運用するひゅうが型護衛艦(画像:海上自衛隊)。

 このシステムは同社が開発し、アメリカ海軍の「ジェラルド・R・フォード」級原子力空母に採用された、リニアモーターで固定翼艦載機を発艦させる電磁カタパルトの技術を応用したものです。

 この方式に対し、横須賀に配備されている「ジョージ・ワシントン」をはじめとするアメリカ海軍のニミッツ級原子力空母や、フランス海軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」は蒸気を利用する蒸気カタパルトを装備しています。

 蒸気カタパルトは、信頼性は高いものの艦内構造が複雑になるため、最初からカタパルトを備えた空母として設計された艦以外に、後から装備することはほぼ不可能です。また出力制御が難しいため、小型の無人機の発艦に使用するのは適さないと考えられていました。

 今回GAが発表したUAS射出システムは、蒸気カタパルトに比べるとコンパクトで、射出に必要な面積も、小型のドローンを射出する場合、約1.2m×0.6mという極めて小さいものです。このため、空母や強襲揚陸艦のような艦首から艦尾まで通じた巨大な飛行甲板(全通甲板)を備えていない、イギリス海軍の45型(デアリング級)ミサイル駆逐艦のような艦にも、比較的小規模な改造で追加装備できるようです。

 同様の装備の実験は他国でも進んでいます。トルコ海軍はカタパルトを装備していないアナドル級強襲揚陸艦から、各種の固定翼機型UASを運用する計画を進めており、2024年11月20日にはアナドル級の1番艦「アナドル」で、バイカル・テクノロジーが開発した艦載固定翼UAS「バイラクタルTB3」の発着艦試験に成功しています。

 また、GAの子会社で、UASの開発製造を手がけるジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)は韓国海軍と協力し、2024年11月にカタパルトを装備していない強襲揚陸艦「独島」から、固定翼機型UAS「グレイイーグルSTOL」の発艦試験を実施。また同社は、2023年11月にも、やはりカタパルトを装備していないイギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」を使用して、技術実証用UAS「モハベ」の発着艦試験にも成功しています。

【空母から無人機発艦!】イギリス海軍が実施した無人航空機の運用試験(画像)

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