海自の護衛艦「無人機どっさり空母化」実現するんじゃ… 新型「めちゃくちゃ短いカタパルト」がスゴイ

アメリカのジェネラル・アトミクス社は、同社がすでに開発・製造している空母用電磁カタパルトで培われた技術をもとに、無人機射出用カタパルトのコンセプトを発表しました。じつはこれ、海上自衛隊にとっても他人事ではないようです。

もしかすると海自のフネにも…? 電磁カタパルトのメリットとは

 これらの試験結果が物語るように、カタパルトを装備していない空母や強襲揚陸艦からも固定翼機型UASの運用は可能になりつつあります。しかし、その際にUASは発艦時のエンジン回転数を上げる必要があるため、自ずと燃料を多く消費します。つまり、その分航続距離が短くなってしまうわけです。

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クイーン・エリザベス級のような空母から発艦する「ガンビット5」のイメージ(画像:ジェネラル・アトミクス)

 インド海軍やロシア海軍などは、カタパルトを持たない空母でジェット戦闘機を運用していますが、飛行甲板を短距離滑走して発艦する場合、艦載機はカタパルトを用いた発艦よりも燃料を多く消費し、搭載できる兵装の量も少なくなります。前に述べたバイラクタルTB3などはプロペラ推進機ですが、将来ジェット推進のUASが普及した場合、運用で生じる制約はプロぺラ推進機よりも大きくなると予想されます。

 イギリス国防省はクイーン・エリザベス級空母にカタパルトを追加し、大型UASを運用することを検討しています。GAが公開したUAS発艦システムのイメージイラストには、クイーン・エリザベス級空母と思われる空母の飛行甲板から、カタパルトを使用してGA-ASIの空母艦載用UAS「ガンビット5」が発艦する姿が描かれています。

 筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)はこのイラストを見て、当初はイギリス海軍や遠征海上基地を運用しているアメリカ海軍などのニーズに応えて作られたコンセプトだと思っていました。しかし、GAの公開した既存艦艇への発艦システムの装備案の中には、海上自衛隊のいずも型ヘリコプター搭載護衛艦も含まれていました。

 この装備案のイラストを見た限りでは、いずも型には艦首部の小規模な改造で、追加装備できるようですし、おそらくひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦に追加装備が可能に見思えました。

 筆者は以前、ある政府機関の方から「ひゅうが型には、せっかく大きな全通甲板があるんだから、ヘリコプターの発着艦だけに使うのはもったいない。ひゅうが型でも固定翼機型UASが運用できないものか?」という話をされたことがあります。

 その時は難しいのではないかと答えたように記憶していますが、今回GAが発表した射出装置や、GA-ASIが開発を検討している固定翼機型UAS「MQ-9B」にSTOL(短距離離発着)能力を追加するキットが実用化されれば話は変わります。ひゅうが型は単なるヘリコプター搭載護衛艦ではなく、「無人機どっさり空母」へと生まれ変わるが日来る…のかもしれません。

【空母から無人機発艦!】イギリス海軍が実施した無人航空機の運用試験(画像)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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