エンジンの位置ソコ!? 「異形の輸送機」なぜこの形に 試作機止まりで終わった経緯とは
1970年代のアメリカで、エンジンが主翼の前方上に付き出た異形の輸送機「YC-14」が試作されました。なぜこのようなデザインとなり、実用化には至らなかったのでしょうか。
短距離離着陸を変わった手法で
1 970年代のアメリカで、ボーイング「YC-14」という輸送機が試作されました。これは中型輸送機「C-130」の後釜を狙ったもので、エンジンが主翼の前方上に付き出た異形の機体でしたが、結論を先に言えば、米空軍は採用しませんでした。なぜC-130をしのぐこと目的に作られた同機は、陽の目を見ることがなかったのでしょうか。
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YC-14は米空軍が1970年代に立てた、短い滑走路で発着できる輸送機の開発計画で試作された輸送機になります。この計画で米空軍は1954年に初飛行したC-130の更新を予定していました。
短距離離着陸を米空軍が求めた背景には、当時、米国が「泥沼にはまった」とされたベトナム戦争で、前線につくられた基地の短い滑走路での運用を求めていたことがあります。
一般に航空機が短距離で発着するには、機体を軽くするかエンジンの推力(馬力)上げる必要があります。ただジェットエンジンの場合、これとは別に排気を主翼の上面に流し飛ぶのに欠かせない揚力を上げる方法もあります。
YC-14が採ったのは、USB(Upper Surface Blowing)と呼ばれる、主翼上の前にエンジンを配置し、排気を翼の上に流して揚力を確保する方式でした。そのため、2基のエンジンはまるで象の耳のように目立つユニークな外形になりました。
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