「船に乗らない“船乗り”」現実に!? 見た目キャンピングカーな“ハイテク拠点”公開 “船の仕事”はこう変わる

日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環で、ある“車両”がお披露目されました。一見するとキャンピングカーのような牽引型の車両ですが、実は「走る操舵室」といえるもの。船業界の未来像がここにありました。

中身はかなり未来的!?

 カーゴトレーラーには米スペースXの衛星通信網「スターリンク」のアンテナと LTEのモデムを搭載し、船上の無人運航システムや陸上のクラウドシステムと通信を行います。基本的にはスターリンク回線を使用するものの、衛星のブロッキングや悪天候などで通信が途切れた場合にはLTE回線に切り替えられるようになっています。

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移動型の陸上支援センター内部(深水千翔撮影)。

 トレーラー内部は、「新たな発見や体験を通じて、子供たちに夢や希望を感じてもらえる秘密基地のような場所」をテーマに、未来的なデザインと機能性を兼ね備えた宇宙船のような内装となっています。

 前方には3面の大型スクリーンを設置し、無人運航船の遠隔監視に必要な情報を選択して表示することが可能です。例えば、無人運航船の位置情報や船内に搭載されている自律航行システムの健全性、エンジンや発電機の稼働情報など、常に把握しておきたい情報を表示。スクリーンに表示する情報は画面を切り替えることで、フレキシブルに変更できます。

 各座席の操作テーブルはチェアの乗降時に邪魔にならないよう電動可動式とし、操作テーブルを出し入れする際に効果音を再生することで、宇宙船のイメージをより一層引き立てるようにしました。

 開発リーダーの佐藤茉莉課長は「コンテンツの視認性確保は重要な課題の1つ。着座位置からのスクリーンの見え方に配慮し、座席とスクリーン角度の調整や、前席と後席でチェアの座面高を変えるなどの工夫を施した」と話します。

 座席の後方にはパソコンなどの機材を収納するラックを設置。サーバーをクラウド化することで、必要最低限の機器でシステムを構築し、スペースの効率を高めつつ、物理的な障害や故障に対しても強い構成となっています。

 前席には航海士が座り、各船が安全に航行できているかを遠隔で監視します。ディスプレイには実証航海で使用する4隻の無人運航船の状況が同時に表示され、船上の装置に何らかの異常が発生し、自律運航システムの健全性が低下した際には船名がハイライトされ、すぐに詳細を確認できます。航海士は必要に応じて船上にいる船長ら乗組員とコミュニケーションを行い、航海計画の変更などの支援を行います。

「操作性に関しては実証航海に向けて今後も改善していく予定だが、航海士の業務フローを考慮して操作が複雑にならないよう、画面構成やデザインなどを工夫している」(佐藤課長)

【写真】これが「船乗りの“勤務先”=キャンピングカー改造車」です!(写真)

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