引退フェリー、災害支援に有効 しかし難しい現実

「災害対策船」を増やすならいま?

 そのひとつの解決方法として2016年3月15日、フェリー会社などが出資する「高速マリン・トランスポート」という特別目的会社(SPC)が設立され、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に基づき、防衛省が同社から「はくおう」と「ナッチャンWorld」をチャーターする仕組みが構築されました。今回の熊本地震で、早くもそれが功を奏した形になります。

 現在、日本のフェリー、客船業界は新造船への代替期を迎え、定期航路からリタイアする船が増加しており、地方自治体からは「熊本の経験を踏まえながらこれらの船の活用を」という声があります。また「災害対策船」の数はもっとあってよいのでは、という意見もみられます。

 しかし、先に述べたコストなどに関わる課題は、特別目的会社とPFI法による仕組みができたとはいえ、消えたわけではありません。予算措置など、有効な方策の立案が待たれるところです。

【了】

Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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コメント

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5件のコメント

  1. 事の良し悪しはともかく昔 日本には 「優秀船舶建造助成施設」と言うものが在りました。内容は長くなるから割愛します、これ読んでるひとなら調べられるでしょ。
    検討してみる価値は有るんじゃないかな。

  2. 普段は1泊クルーズとか岸壁でレストランやってるとかで維持するんかな

  3. 老人向けの療養船にして定期クルーズを日本全国するとかどうっすか?

    認知症でも海には飛び込まないだろうし、自然と周囲のご老人同士コミュニケーションが!
    (そして、年金もあるし、クルーズできるような層から集金できて資金難も解消☆)

    有事の時は、老人ホームではないので、クルーズを切り上げて仕事に就くとかさ。
    結構いい案だと思いますよ~

  4. 貨客船にして普段は本邦沿岸のコンテナ輸送船、有事の際にはコンテナ型の仮宿泊コンパートメントを搭載して災害救助船にするのが良いかと思います。

    コンテナ型の仮宿泊施設は普段は特定の港の倉庫に保管しておいて、有事の際にクレーンで積み込めば数日で被災地近くの港に展開出来るのではないかと。

  5. 海上自衛隊で引き取るのも人手不足で難しいでしょう。

    思い切ってベトナム海軍やフィリピン海軍へ依頼して委託運航するのは如何でしょうか?

    担当が防衛省になるのか、外務省になるのか分かりませんが。