「超静かなタイヤ」構造も超複雑!? “見たことない溝”に“不思議な突起” 初の「EVマーク」入りダンロップ試乗
エンジン車よりもはるかに静粛性の高いEVの普及に呼応して、「EV」マークを付けたタイヤも増えています。ダンロップで初めてEVマークを刻印した新商品は、形も溝も内部構造までも、従来タイヤとは大きく異なっています。
いざ試乗! 「なんというビシっと感」
こうした最新技術によって実現したSPORT MAXX LUXの乗り味を、今回は2台のメルセデス・ベンツで一般道にて試すことができました。まずはじめは、ミドルサイズSUVのGLC。タイヤサイズは235/60R18です。

駐車場から車道へ出る低速時から接地感に落ち着きがあり、段差を越えてまったくドタバタせず期待が高まります。速度を上げていくと、しっかりとした接地感も加わり直進安定性の高さを感じました。確かに、車内にはエンジン音が響くだけでタイヤからの不快な音はよく抑えられています。
高速道路に入ると、際立つのは追い越し加速の際の蹴り出しの良さや、車線変更の際のふらつかないビシッとしたグリップ感。それでいて、まったくゴツゴツとした当たりがなく、継ぎ目を乗り越えてもイヤな音がしない快適な乗り心地に感心しました。
次に、Eクラスセダンに乗り換えます。タイヤサイズは245/45R18です。
こちらはさらに上質な接地感と、遅れがなく思い通りに操れる走りに感心。もちろん、まったく音がしないというわけではないのですが、確かにタイヤからの耳障りな音がしないというだけで、無意識のうちに積もっていく疲労感などに差が出てくると思います。
今回はSPORT MAXX LUX単独での試乗なので、ほかのSPORT MAXXシリーズとの違いがお伝えできないのがもどかしいところではありますが、「静かな車内で運転に没入できる時間」を提供するという、進化したプレミアムコンフォートタイヤを実感することができました。
で、「EV」タイヤって何なの?
そしてこのSPORT MAXX LUXは、ダンロップとして初めて「EVタイヤ」の刻印が入ったこともトピックです。
これはダンロップ独自にEVタイヤの必要要件を定義し、その基準をクリアした商品に付与される刻印。その基準というのは非公開だそうですが、EVの特徴として「バッテリー寿命」「高過重」「低騒音」「高トルク」の4つを挙げており、それぞれタイヤへの要求性能を「転がり抵抗」「耐荷重、耐摩耗」「静粛性」「耐摩耗、ウエット制動」と定義しています。従来のダンロップのEV専用タイヤである「e-SPORT MAXX」「e-ZIEX」で培ったノウハウも活かしながら、今回初刻印となりました。
EVタイヤの基準をクリアするタイヤは今後も拡充していくとのことですが、EV専用とするのではなく幅広い車種、サイズに対応しながら拡充していく方針だといいます。
その理由としては、目指す性能は(EV以外も)同じであり、静粛性や乗り心地と走行性能の両立は、今後もプレミアムタイヤに求められる性能であることが挙げられるとのこと。どんどん静かになるクルマと、それに応えるノイズ低減技術はまだまだ進化を遂げそうです。
Writer: まるも亜希子(カーライフ・ジャーナリスト)
カーライフ・ジャーナリスト。20年以上に及ぶ国内外での取材経験を生かし、雑誌・ウェブサイト・TV・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、安全&エコドライブのインストラクターも務める。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2006年〜)。現在はYoutube「クルマ業界女子部チャンネル」でもユルく楽しいカーライフ情報を発信中。
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