「無料が終了」中央線グリーン車、たしかに空いてる… 実は身近にいた“強力なライバル”とは 東京駅で観察してみた

JR中央線快速電車で、2階建てグリーン車のサービスが始まりました。中央線は本数の多い路線ですが、電車が慌ただしく折り返す東京駅では“職人ワザ”が展開されています。ただ、同サービスには“強力なライバル”もいました。

乗客の反応は?

 乗客の反応はというと、初日の3月15日(土)は週末で行楽利用が多いこともあり、有料化されたことを知らず戸惑う人もちらほら。一方、初の平日となった17日(月)は通勤客ばかりということもあってか、整備終了までの待機も含めてスムーズな乗降が見られました。

 グリーン車の乗客の数は、18時台に東京駅を発車する通勤快速でも各扉最大15人程度の列で、朝夕のラッシュ時間帯も現時点(3月17日)では比較的空いているようです。グリーン車と普通車の混雑の差が印象的でした。

 ところで、快速電車グリーン車よりも特急列車の普通車指定席の方が安くなる現象も起きています。例えば東京?八王子間(47.4km)は、「えきねっと」でチケットレス特急券を購入すると660円です。そのため、50kmまでのSuicaグリーン料金750円よりも安く乗ることができます。

 この関係で気になっていたのは、夕方以降の特急「かいじ」「あずさ」の“東京駅始発”化です。夕方は「あずさ45号」「かいじ47号」「あずさ49号」がそれぞれ新宿から東京駅始発に延長されましたが、特に18時15分発「かいじ47号」は窓側席が5?6割ほど埋まり東京駅を発車、車内の座席上方ランプも空席のほとんどが、指定席発売済みを示す黄色ランプ。そのため次の新宿からかなり乗ってくるのではと想像できます。

 また、朝ラッシュの時間帯では、今回のダイヤ改正で廃止された特急「はちおうじ4号」の時刻をなぞるように、平日のみ臨時「かいじ70号」が運転されています。3月いっぱいの指定席をチェックしてみたところ、甲府→八王子間は空席ありの「○」表示に対して、八王子→東京間は全ての運転日で普通車・グリーン車ともに満席の「×」表示。八王子や立川から大勢の通勤客が乗車するであろうことが読み取れます。

 これら東京駅始発の特急や臨時列車の運転は、ダイヤ改正で廃止された特急「はちおうじ」「おうめ」の受け皿としても機能しているようです。もっとも、特急は所要時間が短く、指定席を押さえれば確実に着席できて、しかも安価となれば、グリーン車以上の魅力を感じるのは当然かもしれません。

 何はともあれ、中央線快速電車のグリーン車サービスは始まったばかり。これから乗車率がどう変化していくか見ものです。現状の空き具合では途中駅からの着席も十分狙えそうです。

【新たな日常】これがグリーン兼券売機の画面と折り返し風景です(写真)

Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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