待望の進水だ! デッカい砕氷研究船「みらいII」 北極は未知の海域「データ全然ないんです」

このたび進水した北極域研究船「みらいII」。同船は日本初の砕氷機能を持つ研究船として建造されていますが、同船が果たす役割は単に北極海の観測にとどまらないようです。じつは国家戦略にも直結するスゴい船でした。

海氷面積の減少にはメリットもあるって?

 商船三井によると、東京―ロッテルダム航路で比べた場合、その距離はスエズ運河経由では約2万kmなのに対し、北極海経由だと約1万3000kmで、航行距離は30%以上短くなると試算しています。現在は、ロシアの沿岸域が北極海航路ということで使われていますが、さらに海氷が減れば北極海の中央や北米大陸側も使えるようになることが期待されています。

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北極域研究船「みらいII」の命名・進水式で、支綱をご切断される愛子内親王殿下(代表撮影)。

 ただし、調査観測がしやすくなるということは、新たな生物資源や有用な物質の発見も考えられます。そうなると、漁業資源のより一層の管理など、北極海を保全しつつ利用していくための国際的な枠組みやルール形成を行っていくことが必須になるでしょう。

 ただ、これまで日本は砕氷研究船を保有していないため、北極海観測は観測時期や海域が限定される耐氷船の「みらい」か、設備の制限や政治的リスクがある他国の砕氷船を利用するしかありませんでした。そもそも海洋地球研究船「みらい」は、1970年に建造された原子力船「むつ」の船体前部を活用し、1997年にJAMSTEC(当時の海洋科学技術センター)が誇る世界最大級の大型観測船へ生まれ変わったという経緯があります。長きにわたって海洋研究を支えていたものの、老朽化が進んでおり、北極海のデータを収集し、国際的に北極研究をリードしていくためにも、新たに北極域研究船を建造することは必要だったのです。

 JAMSTECの担当者も「科学的な観点だけではなく、社会経済的な観点でも北極海にきちんと日本として関与していく必要がある」と強調していました。

 特に既存の「みらい」では海氷が最も減る9月ごろでも、北緯75度ぐらいまでしか行けないのに対し、「みらいII」であれば季節的にも海域的にも海氷が存在している時期・場所で観測を実施できることが強みなのだとか。

 また本格的な砕氷能力を持つ「みらいII」を建造・保有するメリットとして、海氷の少ない時期であれば、北緯90度の北極点付近まで行けるようになる点も挙げられます。北緯75度から北緯90度までは、単純計算でも1600km程度あり、既存の「みらい」と比べて新型の「みらいII」であれば、それだけの距離を北上できるようになるといいます。

【船内に実験室やコールドルームが】これが北極域研究船「みらいII」の船内です

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