リニア開業後は「品川まで10分」でも10年後!? 神奈川県の新駅周辺“今からスゴイ街に”する取り組みとは
リニア中央新幹線の新駅を建設する巨大工事が進む橋本駅。ここにJR東海が建設したイノベーション創出促進の拠点「ファンタステックラボ」が1周年を迎え、イベントが開催されました。
新駅の工事現場に「未来の乗り物」が集結
神奈川県相模原市にある橋本駅では、南口駅前でリニア中央新幹線の新駅を建設する巨大工事が進んでいます。同駅周辺は、JR東海が建設したイノベーション創出促進の拠点「ファンタステックラボ」が2024年3月に開設されるなど、リニアの開業前から沿線価値向上を目指す取り組みが行われています。

この「ファンタステックラボ」の1周年を記念し、2025年3月22日(土)と23日(日)に新駅の工事現場で「未来の乗りもの」が集結するイベントが開催されました。
橋本駅は、JR横浜線とJR相模線、京王相模原線が乗り入れる神奈川県北部の交通結節点で、今後はリニア中央新幹線も加わり、さらに重要度が増す見込みです。品川駅から「神奈川県駅(仮称)」までの所要時間は10分程度と見込まれています。
リニアの新駅は地下3階建てとなっており、地下約30m、幅最大50mの空間に設置。地上からの開削工法で工事が進み、駅の構造物は延長約680mに及びます。掘りぬかれた空間はまさに「地下神殿」のような状態です。
新駅のホームは2面4線で、通過列車の退避が可能な構造になる予定。この場所にはもともと、県立相原高校がありましたが、新駅の設置決定により、高校は約1.5km南西の橋本台地区へ移転しています。
駅周辺では市が「リニア駅周辺まちづくりガイドライン」を策定。土地区画整理事業も決定し、リニア開業を見据えた動きが始動している段階です。
その中でJR東海は、「駅周辺における事業開発可能性を高めることや、中央新幹線の価値を向上させることなどを目的に、まちづくりに参画しています」(櫻井 俊 事業推進本部課長代理)と話します。
神奈川県は橋本駅周辺を「さがみロボット産業特区」に指定。これを踏まえて開設されたイノベーション創出促進の拠点「ファンタステックラボ」は、JR東海が整備・運営し、ビジネスマッチングなどの場となっています。
「ファンタステックラボを1年間運営した結果、イノベーションの創出促進に向けては、まずは関係人口(仲間)づくりが重要と気づきました」(同)とのこと。その上で「リニア開業を契機に新駅周辺や相模原市、さがみロボット産業特区といった地域が、さらにその価値を高めようとしていることを知ってもらうことが大切です」と力を込めます。
特に子供たちを対象としたイベントを行うことで、「ファンタステックラボ」をハブとして企業や団体同士の理解を深め、リニア駅周辺の関係人口を拡大していきたい狙いがあるといいます。
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