日本の軍用機「初の輸出」に現実味 「win-winだね」ってそういう意味か… かつてないほど接近する日伊
海上自衛隊が運用している国産対潜哨戒機「P-1」の輸出の可能性が報じられています。その見返りとして、当該国製のジェット練習機を航空自衛隊が導入する可能性もあるとか。さまざまな事情を考慮すると、全くの絵空事とは言えないようです。
じつは絵空事じゃない! 日伊間で「ディール」成立する可能性が高いワケ
イタリアは日本と同様、自国で賄えない防衛装備品の多くをアメリカから輸入してきました。周辺のイギリスやドイツなどはボーイング737をベースに開発されたP-8A「ポセイドン」哨戒機を導入していますが、現在、ヨーロッパ諸国の間にはトランプ政権に対する反発から、アメリカ以外の国から防衛装備品を導入しようという動きが広まっています。

ロシアの軍事行動の活発化と、ヨーロッパ諸国の「アメリカ製防衛装備品離れ」が重なったことで、イタリアはP-1に白羽の矢を立てたというわけです。
2025年4月現在、自衛隊が運用しているイタリア製の防衛装備品は、海上自衛隊のMCH(CH)-101ヘリコプターだけですが、海上保安庁や警察・消防などではレオナルドのヘリコプター部門であるレオナルド・ヘリコプターズの製品が多用されており、また同社とエアバスの合弁企業である「ATR」の旅客機も、地方の航空路線を支える上で不可欠な存在となりつつあります。
また航空自衛隊は2022年から航空自衛隊の一部の戦闘機パイロットの教育を、イタリアのパイロット養成施設「IFTS」(International Flight Training School)へ委託しているほか、日本とイタリア、そしてイギリスを交えた3か国で、次世代有人戦闘機を共同開発する「GCAP」も進めており、日伊両国の航空分野での距離は、かつてないほど接近しています。
T-4の後継機については2024年3月に行われた日米首脳会談で、日米両国が共同開発および生産を追求することで合意していますが、その後、日米両国で政権が交代。また共同開発を行う場合のベース機として最有力候補と目されているボーイングT-7A「レッドホーク」練習機の開発も遅れており、まったく進展していないというのが現状です。
他方、M-346は、イタリア空軍と航空自衛隊の主力戦闘機であるF-35のパイロット養成に最適化されており、おそらくレオナルドはGCAPで開発される戦闘機のパイロット養成に最適化されたアップデートも行うものと思われます。
イタリアがP-1、日本がM-346をそれぞれ導入して「ウィン・ウィン」という発想は、数年前ならば夢物語だったのかもしれません。しかし2025年の世界においては、まったく現実味のない話ではないと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
護衛艦やミサイル艇が装備している3インチ砲はotoメララのライセンス生産品です。他にもイタリアに起源や関係が深い防衛関連企業は他にもあり、それらの製品を導入していたと記憶しています。
確かに航空機に限ってしまえば、そうかもしれませんが、文脈からはそうは受け取れませんでした。
念の為。
日本の軍事機密満載の新鋭機をイタリアに輸出しますかね?
イタリアは親中国として一帯一路計画に乗った国ですから、直ぐにスパイされますよ。
リスクの方が高過ぎる。
輸出するなら輸送機辺りが無難でしょう。
メンテは日伊どっちでやるつもりなんだろ?
視界が広く低空低速での飛行性能に優れているP-1は、対潜以外の一般的な哨戒にも向いているので、日本と同じく国土の割に海岸線の長いイタリアに適していると思います。
実績の乏しいエンジンに不安があるならRR製に換装するなど、要望には柔軟に対応してぜひ輸出を成功させて欲しいものです。