「戦闘機買います」ウクライナ署名でフランスひと安心!? お互いwin-winなその意義 本当の“策士”は誰だ?

ウクライナがフランス製「ラファール」戦闘機の導入に向けた意向書に署名しました。その背景には、フランスなどが進める次期戦闘機開発計画の遅れがあり、フランス側の事情も見えてきます。

ウクライナ、戦闘機250機体制へ 仏「ラファール」も候補に

 2025年11月17日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、パリ近郊に所在するフランス航空宇宙軍のヴィラクブレー基地で協議を行い、この席でダッソー「ラファールF4」戦闘機最大100機を含む、フランス製装備品の取得に関する意向書への署名を行いました。

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ダッソー「ラファール」(画像:フランス航空宇宙軍)。

 ラファールF4はフランス航空宇宙軍などが運用するラファールの最新仕様機で、従来型のラファールから電子戦システムなどが更新されているほか、運用できる兵装の種類が増加しているのが特徴です。

 他方、ゼレンスキー大統領は10月22日にはスウェーデンのウルフ・クリステルソン首相と、サーブJAS39E「グリペンE」戦闘機を100~150機導入することを含んだ航空戦力分野における協力に関する意向書(LOI)に署名しています。さらにゼレンスキー大統領は10月27日、ウクライナ空軍には250機の戦闘機が必要で、グリペンEとラファールに加えて、アメリカ製のF-16も導入する意向を示しています。

 現在ウクライナ空軍が運用しているオランダなどから供与されたF-16とフランスから供与されたミラージュ2000は無償で供与された中古機ですが、ラファールF4やグリペンE、そして購入意向を示しているF-16は有償で導入する新造機です。

 これらを導入するために必要となる巨額の資金を、ウクライナが工面できるのかを疑問視する声も大きいのですが、ひとまずフランスは、この署名で胸をなでおろしているのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 なぜなら、同国がドイツ、スペインと進めている「FCAS」(将来戦闘航空システム、仏語の略称はSCAF)の共同開発計画が、“空中分解”寸前となっているからです。

【全3機種に】これが「ウクライナがお金を出して買う」新戦闘機です(画像)

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