アメリカより先行っていた!?「日本初の四駆」富士山の麓で快音を奏でた!「唯一無二のエンジン音、ぜひ聞いて」

太平洋戦争において旧日本軍が使用した九五式小型乗用車、通称「くろがね四起」は、日本初の実用4輪です。日本では希少な実走可能な車体が、このたび陸上自衛隊の駒門駐屯地で展示されたので見てきました。

四駆の代名詞「ジープ」より先に誕生

 来場者の中には、これを見に関西地方から足を運んだ人もいたとのこと。かくいう筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)も、「くろがね四起」のエンジン音を聴きに前日から御殿場入りしました。そしてどちらも見事に快音を響かせたのです。

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太平洋戦争前の1939(昭和14)年頃に野戦重砲兵連隊で使用されている「くろがね四起」の前期型。ヘッドライトには、回転式で破損防止用のカバーが見える(吉川和篤所蔵)。

 ちなみに、ここ駒門駐屯地は前身が1936(昭和11)年に建設された旧日本陸軍の富士裾野演習場駒場廠舎で、のちに陸軍重砲兵学校富士分教場も設置されています。ゆえに当時、このあたりを「くろがね四起」が走り回っていたかもしれないと思うと、歴史のロマンを感じます。

 そもそも、「くろがね四起」誕生のきっかけは、旧陸軍が偵察や連絡または将校などの人員輸送用として、1934(昭和9)年より豊田自動織機自動車部(現在のトヨタ自動車)や発動機製造(現在のダイハツ工業)など、国内メーカー数社に開発を依頼したのが始まりです。

 競合の結果、当時オート三輪のメーカーとして知られた日本内燃機(現在の日産工機)の試作車が選定され、1936(昭和11)年より量産されています。

 なお、同車は日本初の4輪駆動車として誕生しましたが、これは4輪駆動車の代名詞的存在であるアメリカ製の「ジープ」より4年も早く、軍用自動車としても世界初の試みでした。これは開発当時、すでに中国では満州事変が始まっており、悪路や不整地の多い大陸の道路事情を考慮したためだと言われます。

【画像】ホントにV型空冷だ! 日本初の4輪駆動車のエンジンを見る

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