アメリカより先行っていた!?「日本初の四駆」富士山の麓で快音を奏でた!「唯一無二のエンジン音、ぜひ聞いて」
太平洋戦争において旧日本軍が使用した九五式小型乗用車、通称「くろがね四起」は、日本初の実用4輪です。日本では希少な実走可能な車体が、このたび陸上自衛隊の駒門駐屯地で展示されたので見てきました。
軍用オートバイから進化した小型四駆
エンジンは、バイク同然のV型2気筒OHV強制空冷エンジン(排気量1300cc)を搭載。これは、後に登場する他国の軍用4輪駆動車のように小型トラックから進化したわけではなく、あくまでも偵察や連絡用の自動二輪(オートバイ)や側車付自動二輪(サイドカー)の代用として位置付けられていたことを示します。

そのため、前期型は定員3名で積載量も小さなものでしたが、それでも後期型は車体を大型化して4名へと増加、エンジンも1400ccに拡大されています。さらに後部を荷台にしたピックアップトラック型も作られ、終戦までに各型合計で4800台近く生産されました。
いわば、旧日本陸軍の「軍馬」として日中戦争や太平洋戦争で活躍した「くろがね四起」ですが、戦中・戦後に酷使されたこともあり、現存するのは世界でも数台程度でした。
しかし、2013(平成25)年に前期型のボディとシャーシが京都市内で発見され、これを譲り受けたNPO法人「防衛技術博物館を創る会」がクラウドファンディングで資金を集めて、3年の歳月を掛けてレストアを完成させました。
この九五式小型乗用車は、九五式軽戦車と共に御殿場市で建設を予定している「防衛技術博物館」(仮称)での展示を目指していますが、それまでの間は時折こうしたイベントで顔を見せるかも知れません。
日本製の4輪駆動車というと、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」などが有名ですが、それらの始祖ともいうべき存在が「くろがね四起」こと九五式小型乗用車です。機会があれば是非、先人が形にした日の丸4輪駆動車の息吹、空冷エンジンの音を聴いてみてください。
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