「東名の守護神」だった神奈川の「非凡パトカー」ご存じか? 60年経つも元気! 裏には知られざる苦労が
一見同じように見えるパトカーも、実はさまざまな車両がベースとなっています。かつては、子どものころにあこがれたスーパーカーがベースになったレアなパトカーもありました。東名を時速200kmで駆け抜けたパトカーはどんな運命をたどったのでしょうか。
パトカーとしては短命、でも生き残った!
当時から世間の注目を集めていた「ポルシェパトカー」ですが、運用期間は短いものでした。神奈川県警の車体は5年間で約15万kmを走行したのち退役しています。これはパトカーとしては比較的短命といえるでしょう。その理由は、高性能ゆえの運用コストの高さと、故障時の修理の難しさだったとか。なお、神奈川県警の車体が退役した直接的な原因は、エンジンの故障だったそうです。

他県に配備された車両も似たような理由で運用を終えており、2025年現在、日本警察で使用されている「ポルシェパトカー」は存在しません。また、退役後は他の警察車両と同様に、悪用を防ぐためにすぐに解体されてしまいました。
では、神奈川県警のこの車体だけなぜ現存しているのかというと、その希少性と話題性から広報用として保存されたからです。約26年にわたって同県の警察学校で展示されましたが、それでも老朽化により廃棄は避けられず、1999年に解体業者へと引き渡されています。
本来であればそのまま解体される予定でしたが、これを聞きつけた現オーナーで神奈川県警OBの方が、業者と半年間の交渉を重ねた末に車体を入手。長い時間と手間をかけて修復を行いました。現在は一般車としてナンバープレートを取得。警察車両と誤認されないよう赤色灯にはカバーをかけ、車体側面の「神奈川県警」の文字を隠すことで公道を走ることができるそうです。
こうして、多くの幸運と現オーナーの努力によって、この「ポルシェパトカー」は唯一の可動車として残ることになりました。今回の「のりもの×交通安全フェスタ」のようなイベントには積極的に参加しているようで、今後も見られる機会はあるでしょう。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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