万能戦闘機「トーネード」運用開始まで特徴だらけ!? 空自次期戦闘機でも採用「複数国共同開発」の先がけ
空自次期戦闘機でも採用された、複数国による戦闘機共同開発のさきがけともいえる機体が「トーネード」です。この機の特徴的な部分について、今回は紹介していきます。
パイロット養成法もユニークだった「トーネード」
TTTEはイングランド中央部に位置するコテスモア空軍基地で1981年に発足しました。訓練にはシミュレーターと実機の両方を使用して行われ、訓練に使用される機体はドイツから23機、イギリスから19機、イタリアから6機が提供されています。訓練飛行隊としてイギリス飛行隊、ドイツ飛行隊、イタリア飛行隊の三つが編成され、それらを統括する司令官は三か国が持ち回りで士官を派遣するという形態が採られています。
TTTEではパイロットとレーダー要員の両方を養成するための基礎的な飛行訓練が行われ、他国機と編隊を組んで飛行することが日常的に行われていました。一方で、兵器を携行した訓練は自国に戻ってから行われていました。というのは、実戦部隊における「トーネード」のミッション内容は各国多少の違いがあったためです。
TTTEでの訓練飛行隊ピーク時には年間300人の「トーネード」要員を養成しましたが、冷戦終結後の組織改編にともない1999年にその活動を終えました。
この、「トーネード」で培われた経験は、後継機として欧州で共同開発されたユーロファイター「タイフーン」でも計画、設計、製造の各段階においてが多く活かされています。しかし、乗員の養成には「トーネード」のような共同訓練機関を設けることは行われず、各国が個別で行うことになりました。
この理由の一つが、近年急速に進歩したIT技術によるものです。各国に分散している乗員養成部隊が高速大容量のネットワークで結ばれているため、技術や経験が離れた場所でも簡単に共有できるとしています。
現在とは異なり、IT技術やネットワーク環境が利用できなかった80年代においては、「トーネード」で採用されたTTTEのような共同訓練機関は必然性のある訓練方式であったと筆者は考えています。
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