東武の特急が「JR上野駅」まで乗り入れへ!なぜ東京駅や品川駅まで行かない?今後どうなる

JR・東武の直通特急が、初めて上野駅まで乗り入れます。どのような背景があるのでしょうか。

特急「スペーシア上野日光」9月運転

 JR東日本は2025年5月16日、「夏の臨時列車」を発表。その中で、今年9月6日と7日の計2日間、特急「スペーシア上野日光」を上野~東武日光間で運転することを明らかにしました。

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東武100系「スペーシア」(画像:写真AC)。

 JR東日本(当時は国鉄)と東武鉄道はかつて、日光への観光輸送をめぐって激しい競争を繰り広げましたが、2006年から新宿と東武日光・鬼怒川温泉を結ぶ「JR・東武直通特急」の運転を開始し、現在は協力関係にあります。この特急は新宿駅や池袋といった山手線西側のターミナルや大宮駅を経由するため、東武線の浅草駅に発着する特急とは差別化が図られています。

 ただ今回は山手線東側にあり、東武線の浅草駅から比較的近い上野駅に、東武の車両が乗り入れることになります。

 JR東日本によると、「東武100系『スペーシア』が団体臨時列車として上野駅に乗り入れるのは今回が初めて」(グループ経営戦略本部 コーポレート・コミュニケーション部門)とのこと。「スペーシア上野日光」を新規設定した理由については「日光がインバウンドで好調であるため、通常とは発着地を変えることで、新たな需要を開拓していく」ねらいがあると話します。

 なお、上野東京ラインを経由して東京駅や品川駅から東武線への直通列車を走らせることも物理的には可能ですが、今回は上野発着です。なぜ東京駅や品川駅まで乗り入れず、敢えて上野発着にしたのでしょうか。

 その理由についてJR東日本は「新規設定の臨時列車ということもあり、始発駅を上野としました」と話します。今後の上野以南への直通については、「今回の運転を踏まえて総合的に判断していく」とのこと。まずは上野発着で慎重に需要を探っていくようです。

 ちなみに、JRと東武の直通特急をめぐっては2024年10月上旬、東武日光線の沿線自治体や商工会議所などが「東京都心・羽田空港直通電車推進期成同盟会」を設立。東武日光線方面から羽田空港アクセス線への直通列車の実現を目指す動きが始動しています。今回の「スペーシア上野日光」が、そうした直通列車へと発展する「呼び水」となるのか、今後の動向が注目されます。

【画像】これが特急「スペーシア上野日光」の運行時刻です

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