「古い鉄道車両の天国」から異例の「客車売ります」 元JRの由緒ある車両 移籍7年でなぜ? 大井川鐡道

大井川鐡道の鳥塚 亮社長は2025年5月19日、使用していない客車の譲渡を計画していると自身にブログで明らかにしました。

せっかく導入した客車を売却

 大井川鐡道の鳥塚 亮社長は2025年5月19日、使用していない客車の譲渡を計画していると自身にブログで明らかにしました。

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「やまぐち号」で使われていた頃の12系客車(画像:PIXTA)。

 対象となるのは、JR西日本が「やまぐち号」で2017年まで運行していた12系客車および旧型客車数両です。「有効活用していただける一般の皆様方へ向けて、車両本体を売却することになりました」としています。12系客車の内訳は次の通り。

・オハ12 701

・オハ12 702

・オハ12 703

・スハフ12 702

「車体本体ごと引き取ること」「車両を搬入して設置できるスペースを所有していること」が条件で、部品取りなど、一部のみの譲渡は不可。売却額は応相談とのことですが、1両あたり100~150万円にて現状引き渡しを予定しているとのこと。

 輸送費など引き取りにかかる費用は購入者が負担。ただし、「輸送事業者はご紹介いたします」ということです。

 一般の人が店舗や倉庫などに使うことのほか、鉄道事業者が使用する場合も車両整備などの相談に応じるとしています。その輸送が2025年8月末までに完了できることも条件となっています。

 これに際し、大井川鐡道は6月7日(土)に見学会を兼ねた有料(5000円)の説明会を、新金谷駅前プラザロコにて実施する予定です。あくまで、車両の購入を検討している人のみが対象だといいます。

 大井川鐡道は各地から古い鉄道車両が集まっていることで知られます。今回の元「やまぐち号」の12系客車は、大井川鐡道が2018年に観光列車の冷房化及び旧型客車の置き換えを目的としてJR西日本から譲受したものです。

 しかし、その後コロナ禍が襲ったほか、さらに土砂崩れによる大規模災害で全線のうち約半分にあたる川根温泉笹間渡―千頭間が不通になってしまい、使用できないままになっているといいます。

 車体も傷み、部品などの盗難も発生していることから、運行のための整備には多額の費用が見込まれるとして、購入から7年にも関わらず譲渡を決めたということです。

【基本「現状渡し」】これが売りに出る「12系客車」です(写真)

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