鳴り物入りで登場したのに…「日本車キラー」と呼ばれたアメリカ車なぜ消えた?「トランプ大統領よ、勉強して!」
アメリカ車は「売れない」と言われていますが、日本人のニーズに合致すれば人気を掴むことは可能です。過去には単に価格が安いというだけで売れずに撤退していったアメリカ車がありました。
「ネオン」じつはそんなに悪いクルマじゃなかった?
「ネオン」のキャブフォワードデザイン+丸目ヘッドライトのスタイリングはなかなか個性的で好ましく思ったものの、日本車と比べるとチリ(隙間や段差、面のずれ)にはあまり関心が払われておらず、内装はプラスチック多用で安っぽく、インパネやドアトリムのクオリティは軽トラック並みでした。また、アメリカ車にもかかわらずシートの作りが悪いため、2時間ほど運転していると腰に痛みを覚えました。

運転感覚は、ホンダの5代目「アコード」に似てハンドリングは意外にもシャープでした。足回りは乗り心地と走行安定性のバランスがよく、街乗りでも高速走行時でも可もなく不可もなくという印象でした。また、エンジンは低回転域から必要にして充分なトルクを発生させることから運転はしやすかったです。筆者は2年ほど所有しましたが、その間に大きな故障はありませんでした。
「ネオン」の最大の長所は燃費性能で、2000ccというエンジン排気量にもかかわらず街乗りで燃費10km/Lを割ることはなく、高速道路を使った場合は14~16km/Lにも達しました。アメリカ車というと燃費最悪、いうなれば「ガスガズラー」との印象を持つ人が多いでしょうが、ことガソリン車に限ると、意外なことに燃費性能では同クラスの日本車や欧州車を上回る車種も多いのです。
ネット上では「軽自動車に劣る性能で満足に走らない」「小型車なのにガソリンをカブ飲みする」「故障ばかりでロクに乗れない」などと揶揄されることが多かった「ネオン」ですが、それらは根も葉もない流言の類ではないかと、実際に乗り回していた筆者からすると感じます。なお、そのような書き込みをする人の多くは、実際にはこのクルマの運転経験がないまま面白おかしく、ハナシを盛って書いているのではないでしょうか。
このクルマを例えるなら「ボタンや使っている生地は安物だが、ボタンのかけ違いのないファストファッションのようなクルマ」ということになるのでしょう。「ネオン」が日本で売れなかったのは、日米のユーザーが2000ccクラスの乗用車に求めるニーズの違いだったのだろうと、いま振り返ると感じる次第です。
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に
長年 ❝アメリカが世界の中心❞主義で来たつけだろう。今更むかしの状態に戻すのは無理だと思う。なぜなら、もはや日本の方が技術的にアメリカを上回ってしまったから。アメリカ中心主義から早く目覚めないと、他の分野もどんどん諸外国に後れを取っていくと思う。製造業を軽視してきた事も大きいと思う。