高速道路「新・深夜割引」延期へ 7月頃からの運用開始は“困難” システム整備中断
割引対象時間に走行する距離を推計して、割引額を定める「新・深夜割引」が見直されることになりました。NEXCO3社が西日本高速の社長会見後にそろって会見を実施。中日本高速で4月に発生した大規模ETC障害が影響したと考えられます。
ETC障害を機に新・深夜割引のシステム整備も停止
NEXCO3社は2025年5月28日、7月頃から実施を予定する「新・深夜割引」について、運用開始は困難という見方を示しました。NEXCO西日本の本社で3社がそろって会見しました。

3社が7月に実施を予定する「新・深夜割引」は、入口料金所直前やSA/PA付近で割引待ちをする車両の解消を狙ったものでした。
従来の深夜割引は、対象となる高速道路を割引時間帯(0時~4時)に少しでも利用することで、割引時間帯以外に走った走行分も割引対象になっていました。新・深夜割引は対象時間帯を22時~翌5時に拡大する一方で、その時間帯に走行した距離だけ割引が適用されるように改定する予定でした。
車両が割引時間帯に何キロ走っていたかを把握するためには、約60kmごとに設置された路側アンテナで走行履歴を車両ごとに収集し、アンテナ間の通過時間で走行スピードを計算して、実走行距離に近い走行距離を推計する必要がありました。旧来の何倍ものデータ処理が、大きな課題となっていました。
4月にNEXCO中日本の道路で発生した大規模なETC障害では、当初、同社は新・深夜割引のシステム更新を原因として疑っていました。結果的にはそれが原因ではなかったのですが、背景には新・深夜割引のデータ処理の課題があります。
ETCシステム障害の発生をきっかけに、新・深夜割引のシステム整備は中断しています。現状での再開は見込めず、改めて実施の日程を精査するため、新・深夜割引の運用開始時期の見通しは不明としました。
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
ETC2.0搭載車は現行のまま、とかにすればもっと普及すると思うのだが…