鉄道車両の連結器を「ぜんぶ取り換えろ」なんと7万両!? 100年前の一大プロジェクトはなぜ行われたのか?

今から100年前、鉄道の連結器の一斉交換が行われました。これにより、連結作業に携わる連結手の死傷事故が激減するなど、安全性が向上しました。今につながる鉄道従事者の安全の基礎を築いた一大プロジェクトを追います。

連結器の交換がもたらしたのは、安全性の向上だけではない

 連結器を交換したことで、連結作業の安全性は飛躍的に向上。1926(昭和元)年度の調査では、連結作業中の死者が0人、負傷者が38人にまで減少しました。

 また、連結器が頑丈になったことで、走行中に連結器が外れるという列車分離の件数が大幅に減少しました。連結器交換前の1924(大正13)年度に161件あった列車分離数は、交換後の1926(昭和元)年度に50件となり、7割も減少したのです。

 さらに、頑丈な連結器を前提とした重量のある貨物列車の運行が可能となり、貨物列車の輸送力アップが図られています。

 このほか、連結器の一斉交換によって北海道と本州以西で連結器が統一されたため、1925(大正14)年8月から青函連絡船で貨車を運ぶ取り組み(貨車航送)が始まり、北海道と本州の間で物流の利便性が向上しています。

 実は北海道では先行して1898(明治31)年から自動連結器の採用が始まりましたが、本州以西の車両とは連結器の高さが異なっていました。このため、1924(大正13)年8月に連結器の高さを上げ、本州以西で導入予定の連結器と同じ高さに揃える作業が行われています。

 現在では、連結・切り離し作業を見る機会は少なくなりましたが、過去には連結作業が頻繁に行われ、危険と隣り合わせな状況でした。連結器の一斉交換によって危険な作業が軽減されたことは、世界的にも偉業とされています。

【写真】かつては危険を伴った鉄道車両の連結作業

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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