もうすぐJR最古参!? 37年選手のハイパーでスーパーな特急形車両 今も“十分現役”のワケ
JR九州がJRグループとして最初に投入した特急形電車が、783系「ハイパーサルーン」です。185系電車が引退したあとは、JRグループで現役最古参の電車ともいえます。どのような特徴を持っているのでしょうか。
複数回のリニューアルを経た現在は?
783系は1989(平成元)年にはカフェテリア営業開始、長崎本線特急「かもめ」に投入。1990(平成2)年に130km/h運転開始、日豊本線特急「にちりん」に投入と活躍範囲を広げます。この時期にはJRグループを代表する特急形電車でした。
しかし、個室やビュッフェを備えるなど、斬新で豪華な新型787系特急形電車が1992(平成4)年に登場。「ハイパー有明」の列車名も「つばめ」になりました。画期的だった783系は相対的に見劣りすると見なされ、乗客は新型の787系特急を選ぶようになったのです。同年、カフェテリアの営業は中止され、翌1993(平成5)年には普通車のフットレストと、オーディオ・テレビの撤去も開始されました。
そして1994(平成6)年から、787系をデザインした工業デザイナー・水戸岡鋭治氏により、リニューアルが行われます。登場から6年しか経っていない特急形電車がリニューアルされるのは極めて異例なことでした。
2000(平成12)年と、2017(平成27)年にもリニューアルが行われ、中間車への運転台設置、普通車の座席交換なども行われて、現在に至ります。
783系は廃車が始まっていますが、現在でも特急「きらめき」「みどり」「ハウステンボス」「かささぎ」で活躍を見せています。
787系に近付けるリニューアルが行われたとはいえ、37年間も第一線で活躍できるのは、「今までにない特急形電車を実現する」という国鉄とJR九州の意志がもたらした、クオリティの高い基本設計があってのことだといえます。広い側窓やゆったりとした座席(特にグリーン車)は、最新の特急形電車にも見劣りしないものです。末永い活躍を願う次第です。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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