この低さ「赤ちゃん用」ですか!?「都内でいちばん狭い鉄道高架」もある私鉄路線の“いけずな物件”めぐり
東京・城南の住宅密集地を走る東急池上線。そのなかにはクルマの通行が難しい、中には“人の通行すらちょっと難しい”特殊な立体交差が複数あります。不思議な物件たちを巡ってみました。
え、ここクルマ通れるの?
池上線には前出の通り、生活道路と交わる踏切や、生活道路の延長線上にある跨線橋が多くあります。そのいくつかは住宅密集地ならではの車両の通行が難しい「人が横断するための道」であり、知らずにクルマで近づくと思わぬ困難が待ち受けていることも。

その一つが、「大崎広小路駅」と「戸越銀座駅」との間にかかる「谷山橋」です。
この橋は、切り通しを走る池上線をオーバーパスし、品川区西五反田と同大崎を短絡します。橋の形状は中央が盛り上がったアーチ橋で、普通乗用車が十分に通れるレベルの幅員がありますが、規制により通行できるのは軽車両のみです。
ただ、この橋を使うとかなりのショートカットができるため、規制を無視して渡るフードデリバリーのスクーターなどを見かけることもあります。通行の際は十分ご注意ください。
一方、「旗の台駅」と「長原駅」の間には、特徴的な橋が2本かかっています。「旗の台二の橋」と「旗の台一の橋」です。
長原駅は大田区上池台に所在する地下駅で、旗の台駅側には東京の大動脈「環七通り」が横切っています。ただその環七通りから旗の台駅側に路地を入ると、そこはクルマのすれ違えない狭い道が続く住宅地です。
旗の台二の橋は、幅員が2mあるかないかの狭さで池上線をオーバーパスする橋です。
この旗の台二の橋を挟む道路の交通規制は、「土休日を除く7時30分―8時30分のみ歩行者専用道路(自転車を除く)」であることから、これ以外の時間帯であればクルマで通行することそのものは禁止されていません。ただ橋の両端には最近ラバーポールが設置され、クルマの進入を物理的に拒んでいます。
ちなみに橋に向かう道路には、荏原警察署と品川区との連名で「この先幅員狭く自動車は通行できません」との掲示が行われています。
一方、旗の台一の橋は、旗の台二の橋以上にクルマの通行を阻む構造となっています。その理由は橋の両端に設けられた階段です。
ただし旗の台一の橋に南側から進入する場合、明示的に「クルマの通行不能」を知らせる規制標識はなく、「土曜日の13時から17時/日曜休日は10時から17時の歩行者専用道路(自転車を除く)」の表示があるのみ。荏原警察署と品川区による掲示も「幅員狭し 車両の通り抜け困難」と、旗の台二の橋に比べややトーンダウンしており、「困難ではあっても不可能ではない」と誤解される可能性もありそうです。
実際、旗の台二の橋も含め、この周囲の電柱や縁石にクルマが擦った跡が多く残されています。夜間など見通しが利かないときに、階段の手前まで進行してしまったクルマが、戻る途中にうっかり接触したことによるものなのかもしれません。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。
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