「軍服にしちゃトガりすぎだろ!」ガンダムの「ネオ・ジオン軍」がハデハデ服となったワケ
ガンダム世界でハマーン時代のネオジオン軍はなぜあのようにハデハデな軍服だったのでしょうか。その謎にせまります。
もはや軍服かどうかも怪しいネオジオン
続編『機動戦士ガンダムZZ』では、ようやくハマーンが軍服のような服を着用しますが、階級で呼ばれることはありませんでした。ハマーンの後で、ネオジオン総帥となったシャアも「大佐」と呼ばれていましたが、彼の階級が本当に「大佐」だと、それは戦艦の艦長クラスでしかなく、より階級の高い軍人が軍にいる可能性が高いですから、かつてのリビアの独裁者であるムアンマル・アル=カッザーフィーが「カダフィー大佐」と愛称で呼ばれたような感じで、シャアの階級はあってないようなものとなっているのでしょう。

ハマーンに話を戻しますが、彼女の父親はマハラジャ・カーンと言って、地球圏から孤立した宇宙要塞アクシズを実質的に取り仕切っていた、特権階級に位置する人物でした。その娘がジオンで最大の権威ともいえる「ザビ家」の娘である、ミネバの摂政をしているということは、活動資金と居場所を提供する「スポンサーの発言」みたいなもので、軍の階級よりも尊重されるべきことなのでしょう。
ただ、そうなるとハマーンは法制度ではなく自身の一族の社会的地位とミネバの権威という「実力」で、軍を従わせていることになりますから、従う者たちに“踏み絵”を踏ませねばなりません。それが『機動戦士ガンダムZZ』で描かれたネオジオン軍なのではないでしょうか。
『ZZ』のネオジオン軍は、普通の軍隊ではありません。ハマーンに忠誠を誓うマシュマーは、ハマーンから授かったバラを大切にする「騎士」と自分のことを定義していますし、同じく部隊を任される士官に位置するはずのイリアやキャラに関しても、ロックバンドみたいな服を着用しています。階級が描かれることもほとんどありません。これはもしかするとハマーンから「私は軍を私物化できるだけの実力がある。逆らえるならやってみろ」というメッセージである可能性もあります。
風格があるので忘れがちなのですが、ハマーン自身が20代前半の若い女性でもありますから、既存のジオン軍服が彼女の美意識に合わなかった可能性もあります。そうしたこともあってなのか、ハマーンのネオジオン軍はグレミー・トトが実際に反乱を起こし、崩壊しています。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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