ガンダム世界が「爆速&爆火力の無敵の機体」なぜ増えず? 「スペックそこそこでOK」化する納得のワケ

ガンダム世界ではたまにやたら高機動・高火力を持ったMSの付属兵器が登場し、MSがMAのような性能を持つときがあります。それは果たして意味があるのでしょうか?

ガンダム世界でMAが主流にならない理由

 兵器の発展。特に戦車・戦闘機などの「乗りもの」は、主に「攻撃力」「防御力」「機動力」の3要素が技術の進歩とともに強化されるのが一般的です。

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圧倒的な上昇速度で期待「Me163」しかし、MAのようにそのカタログ上での圧倒的な性能が仇となった(画像:アメリカ空軍)。

 例えば、プロペラに装甲を施して、前方に機関銃を撃てるようになり、実質最初の戦闘機となった、フランスの「モラーヌ・ソルニエL」は、1913年に初飛行しました。性能は「最高速度115km/h、機体重量655kg、7.9mm機関銃1門」です。

 一方、約100年後に登場した、航空自衛隊が2018(平成30)年より配備を進める「F-35AライトニングII」は、最高速度マッハ1.6(1931km/h)、空虚重量13.290kg、GAU-22/A 25mm ガトリング砲1門に加え、空対空ミサイル、空対地ミサイルなど、多数の武装を装備可能です。最高速度で16.8倍以上、機体重量で20.3倍、攻撃力に関しては威力が上がりすぎて比較も困難です。

 架空世界とは言え、アニメ『機動戦士ガンダム』の宇宙世紀も、多数の作品群により「技術の進歩」が描写された世界観ですが、設定された性能は現実ほどには進化していません。

 宇宙世紀0075年の人型機動兵器(以下MS)「ザクI」は、頭頂高17.5m、ジェネレーター出力899kw、スラスター総推力4万700kg、センサー有効半径2900mになります。

一方、78年後の宇宙世紀0153年で、同じ量産型MSの「ゾロアット」は、頭頂高14.5m、ジェネレーター出力5280kw、スラスター総推力7万9200kg、センサー有効半径3万mです。

 時代の経過により、ジェネレーター出力は5.8倍、スラスター総推力は1.95倍、センサー有効半径は10.3倍程度とかなり性能は向上していますが、現実ほどの差はありません。

 単純に出力やセンサー性能ならば、ザクMSが運用されていた同じ時代である、宇宙世紀0079年に登場したモビルアーマー(MA)「エルメス」の方が全長38m(諸説あり)という巨体である点をのぞけば、ジェネレーター出力1万4200kw、スラスター総推力64万5200kg、センサー有効半径24万5000mと「ゾロアット」を遥かに上回っています。

 単純に考えて、約3倍のジェネレーター出力から放たれる「エルメス」のビームは「ゾロアット」より威力があるかもしれません。「ゾロアット」は後の時代に登場するビームシールドを持つため防御力では上回るでしょうが、推力とセンサーでも「エルメス」の方が上です。

 逆に考えると、0153年に「エルメス」を設計すれば、遥かに高性能だった可能性があります。ところが、似たようなコンセプトのMAはなく、かなり小型のMA「ビルケナウ」は、ジェネレーター出力1万1920kw、スラスター総推力19万2550kgと「エルメス」よりかなり劣るスペックです。つまり「スペックを上げる意味がない」という仮説が立てられます。

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