うぉっ、バイク飛び出してきた!←「自動ブレーキ効きますか?」 クルマの安全装備の“死角”を突く性能試験導入へ 何が変わる?
自動車で普及が進む「衝突被害軽減ブレーキ」の性能に「対バイク」を想定する試験が始まります。バイクの死亡事故の多くを占める「右直事故」を防ぐ有効策となりそうですが、その要件を決めるのは一筋縄ではなさそうです。
20年の歴史上初、“バイク”を想定したクルマの安全評価が始まる
自動車メーカー各社でシステムの呼び方が違う「衝突被害軽減ブレーキ」。ひょっとしたら事故を回避できるかもしれない能力は各社バラバラで、それを比較するのが「自動車アセスメント」です。この性能評価試験に、歴史上初めて、対バイクを想定した事故シーンが導入され、2025年度に予備試験が実施されます。

衝突被害軽減ブレーキは、各種センサーで前方の障害物を検知し、緊急度に応じてブレーキを作動させる装置です。間違った認識ですが「自動ブレーキ」と通称されることもあります。もちろんすべての交通シーンで有効に働くわけではなく、各社、作動条件が違い、天候、速度など外部環境に影響されることもあります。
ただ、それより運転者が知っておかなければならないのは、衝突被害軽減ブレーキは、“バイクに弱い”という点です。
追突などを想定した被害軽減は、各社が先行車として認識できる対象を四輪車、歩行者、自転車、バイクなど全車両としています。しかし、自車の前方で、進路を横切ろうとする飛び出しなどを想定したケースでは、バイクを検知することはできない、というのが安全運転支援の常識となっています。
そうしたなかでようやく実現したのが、対バイクを想定した交差点内での通称「右直事故」を想定した性能比較試験です。交差点にバイクが直進で進入し、右折を試みる乗用車の被害軽減ブレーキを調べるテストです。
バイクが第2当事者となる事故では、事故の主要因となる第1当事者は約9割が四輪車となっている――こんな分析が、交通事故総合分析センターの2011年のレポートにあります。さらに、こうした右直事故では、原因の約8割強が安全確認不十分な「発見の遅れ」をあげていました。自動車アセスメントの実施から20年を経て、ようやくそのシチュエーションを想定した試験が始まります。
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