うぉっ、バイク飛び出してきた!←「自動ブレーキ効きますか?」 クルマの安全装備の“死角”を突く性能試験導入へ 何が変わる?

自動車で普及が進む「衝突被害軽減ブレーキ」の性能に「対バイク」を想定する試験が始まります。バイクの死亡事故の多くを占める「右直事故」を防ぐ有効策となりそうですが、その要件を決めるのは一筋縄ではなさそうです。

「シチュエーションの違い」を克服できるか?

 自動車アセスで使用するバイクは、50ccクラスと、51cc以上を想定するスポーツバイクの2モデルを採用。速度30~60km/hの範囲を10km/h刻みでアップさせて、それぞれのスピードで直進します。一方、各自動車メーカーの安全装置を搭載した乗用車は速度10~20km/hの範囲で、5km/h刻みアップさせて右折を試みます。

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右直事故が多い交差点では注意喚起がなされていることも(画像:PIXTA)。

 一読すると、速度の高い直進バイクを検知できる車両のほうが優れているように感じますが、実際の道路で有効性を評価するためには、公道走行での事故状況にどれだけ有効であるかが評価のポイントになります。

 例えば、右折時に交差点に進入する初心運転者の運転は、経験を積んだ運転者より動作が慎重な傾向はあるものの、それが事故防止のための効果的な動作とは言えない場合があります。衝突被害軽減ブレーキの動作がこれと同じだった場合、直進バイクを検知する能力が高くても、運転者が予想せずブレーキが作動する、といったことも考えられます。そのため、速度が速い直進バイクの検知が高い評価を得られるとは限りません。

 自動車アセスメントを実施する国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)は、直進バイクが衝突を認知する速度などを考慮した「社会的損失額」の大きい速度域での効果的な動作を、2025年度の予備試験の結果をもとに検討。右折車が直進バイクを発見する条件をどこに定めるかなどを明確にした上で、2026年度から本試験に臨む方針です。

 右直事故は、直進車の進路を妨げる右折車に対して、より大きな責任が問われます。対バイクの事故は被害が大きくなりやすいので、衝突被害軽減ブレーキの効果は大きいです。

 自動車アセスメントは各メーカー共通条件の同一試験を実施することで、安全性能の違いを明らかにし、総合点数を5つ星で評価するものです。自動車ユーザーの選択と、所有する車両の安全装置に対するより深い理解につなげる狙いがあります。2025年度の自動車アセスメントに関する第一回検討会は、この夏にも開催されます。

【実は割れてる!?】右直事故アセス「これは対象にしなくても…」の議論とは?(画像)

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