【交通と安全保障】印パ紛争に紅海の海賊、さらには中台の衝突リスクまで… インド太平洋エリアは危険がいっぱい「日本のシーレーン」ヤバいぞ!
ここ十数年ほどで、インド太平洋地域の安全保障環境は大きく変わり、武力衝突や戦争のリスクが高まっています。今回はこの情勢が交通システムに及ぼす影響について考えましょう。
この記事の目次
・「導火線」が短くなった地域情勢
・計画的な攻撃と偶発的な衝突 その違いは?
・交通システムへの影響は?
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「導火線」が短くなった地域情勢
近年、我が国を取り巻くインド太平洋地域の安全保障情勢は大きく変化し、緊張が高止まりしていることから、有事の「導火線」が相当短くなったと言えます。これはよく話題となっている東シナ海や台湾海峡、朝鮮半島、南シナ海だけでなく、将来的には南太平洋エリアもさらに荒れてくる可能性が高いです。
中国、北朝鮮、ロシアなどといった、力で現状変更を狙う勢力によりグレーゾーン事態が常態化していることから、日本とアメリカを始め、韓国やオーストラリア、その他の同志国は現状維持、または回復させるために防衛力において連携を強化させる必要があります。
最近では中国軍艦艇の活動範囲の拡大が顕著であり、なおかつ戦力を更新し改革を押し進めるのが目立ちますが、北朝鮮も軍事近代化を進め、より好戦的になっています。また、最近ではロシアも北方領土や日本海周辺で不穏な動きを続けており、中国や北朝鮮との連携強化も目立ってきています。中朝露の戦略や言動を考えると、大規模な軍事作戦を実行することも懸念されますが、それと同時に武力攻撃に至らない妨害・挑発行為による、いわゆるグレーゾーン事態が常態化し、偶発的な衝突が勃発する可能性も高まっており、こちらにも注意し続ける必要があるのは言うまでもありません。
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Writer: 山口亮(国防・安全保障専門家)
長野県佐久市出身。東京国際大学国際戦略研究所准教授。アトランティックカウンシル上席研究フェロー、パシフィックフォーラムスコウクロフト戦略安全保障センター上席客員フェローなどを兼任。幼少期からイギリス、オーストラリア、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国などで過ごし、防衛政策・戦略・計画、安全保障、交通政策を専門とする。主著に『Defense Planning and Readiness of North Korea: Armed to Rule』(Routledge)、『2030年の戦争』(日経BP)など。Instagram/X: @tigerrhy