【交通と安全保障】乗りものはキホン脆弱だ 「標的」だけに留まらないリスクとは〈前編〉

陸海空の交通システムは人間社会にとって欠かせないものですが、同時に我が国や世界の安全保障において多くの重要な課題を抱えます。身近な乗りものと安全保障――リスクについて過去の事例も交え、前後編に分けて解説します。

この記事の目次

・社会活動に欠かせないアセットとなるということは

・「安全保障リスク」とは 分解して考えてみる

・乗りものは丸腰である

・意図しない「うっかり」が致命傷に

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社会活動に欠かせないアセットとなるということは

「乗りもの」はヒト・モノ・サービスを運ぶ、人間社会の生存と繁栄にとってなくてはならないものです。石器時代以来、ヒトは速度、運行距離、搭載量、運行量、アクセシビリティを中心に移動手段を追求し、現代の自動車、鉄道、船、航空機などからなる「交通システム」を構築してきました。

 ここ100年ほどで、各種交通手段の運行(航)ルートは拡大しましたし、運ぶヒト・モノ・サービスも昔とは比べものにならないくらい増え、多様化しました。また、近年では効率性向上のため、道路、鉄道、海洋、航空といった交通モードをつなぎ合わせる複合一貫輸送システム(インターモーダル)も発達しています。

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ソマリア沖でコンテナ船を護衛する海上自衛隊の護衛艦(画像:海上自衛隊)。

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Writer:

長野県佐久市出身。東京国際大学国際戦略研究所准教授。アトランティックカウンシル上席研究フェロー、パシフィックフォーラムスコウクロフト戦略安全保障センター上席客員フェローなどを兼任。幼少期からイギリス、オーストラリア、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国などで過ごし、防衛政策・戦略・計画、安全保障、交通政策を専門とする。主著に『Defense Planning and Readiness of North Korea: Armed to Rule』(Routledge)、『2030年の戦争』(日経BP)など。Instagram/X: @tigerrhy

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