アメリカ陸軍「やっぱりいらない」に海兵隊反発 共同開発した「新・軍用車」突然の調達停止なぜ?

アメリカ陸軍が、ハンヴィーの後継として導入していたJLTV(統合軽戦術車両)の調達を停止すると発表しました。共同運用していた海兵隊には事前説明がなく、軍内部で摩擦も生じています。

陸軍は要らなくても海兵隊は困るんだよ!のワケ

 陸軍がJLTV調達に消極的になった背景には、いくつかの要因があります。

 まず、予算配分における優先順位が低下していること。さらに、既存のハンヴィーを改修することで当面の運用は可能と判断されたこと。そして何より、今後求められるのは電動化された静音性能の高いプラットフォームや、AIによる自律走行を前提とした無人化といった次世代技術であり、従来型のJLTVでは将来のニーズに応えられず、すでに時代遅れという見方が広がっているのです。

 現時点で陸軍は必要数のJLTVをある程度確保しており、追加調達を見送る方向に傾いたと考えられます。

 一方、海兵隊にとってJLTVは依然として極めて重要な装備です。海兵隊は現在、「フォースデザイン」と呼ばれる再編計画を進めており、分散・高速・軽量・無人・ミサイルといったキーワードに基づく新たな作戦構想を展開しています。その中核をなす装備の一つが、JLTVベースの無人車両に地対艦ミサイルを搭載した「NMESIS(海軍海兵隊遠征対艦阻止システム)」です。海兵隊にとってJLTVは、単なる戦術車両ではなく、新しい戦い方を支える“足回り”そのものなのです。

 現時点では、海兵隊が必要とするJLTVの大半はすでに契約済みであり、短期的な運用には大きな支障はありません。しかし中期的には、陸軍との共同調達が途絶えることでスケールメリットが失われ、運用コストの上昇が懸念されます。さらに長期的には、JLTVの生産ライン自体が縮小または終了する可能性があり、NMESISのプラットフォームとして別の車両を探す必要に迫られるかもしれません。

【比較】ハンヴィーより少しゴツいJLTVを見る(写真)

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